ヴィ-ナス・シティ
21世紀初期、日本は世界経済を掌握する巨大ネットワーク国家となっていた。東京で国際情報調査会社に勤務する森口咲子には、もうひとつの顔があった。夜ごと彼女は精悍な男性に変身して「ヴィーナス・シティ」に現われるのだ。ヴィーナス・シティとはコンピュータ・ネットワーク上に構築された仮想現実都市。ヴァーチュアル・リアリティの技術を応用したこの電子都市では誰もが自分の望み通りの人間となり、あらゆる欲望をかなえることができる。ある夜咲子は、シティの中で暴漢に襲われた少女を助ける。犯人は何者か、その動機は?やがて事件は日本全土を巻きこむ国際情報犯罪に発展する…。仮想現実感とジェンダー、コンピュータ技術と日本の将来を迫真の筆致で描いた近未来小説。