天国の豚(上)
心身ともに虐待され、心にトラウマを負ったチェロキー・インディアンの幼女、タートル。若い独身女性のテイラーはその子の傷を癒し、ともに生きようと決意して、やがてタートルを養女にした。しかし、人生とはつねに思わぬ方向へ転がるものなのかもしれない。たまたまタートルとテイラーがテレビに紹介されるや、チェロキーの女弁護士がいきなり乗り込んできて、こう言ったのだ。「白人は部族の許可なしにインディアンの子を養子にはできないのよ」切れ者と評判の女弁護士にわが子を奪われるとおびえたテイラーは、衝動的に、あてのない逃避行へと走る。一人の傷だらけの子をめぐり、サスペンスフルに、かつ情味豊かに繰り広げられる、大人たちの人生を賭けた駆け引き。旧来の幸福な家族像がことごとく崩壊しつつあるアメリカ社会で、新しい家族のありかた、新しい母子と隣人の関係を鮮明な夢のように描き上げ、全米ベストセラーに輝いた感動の大作。