そして赤ん坊が落ちる
インディアナポリスでソシアル・ワーカーの事務所のチーフとして働くアデル・バフィントンは、目のまわるような毎日を送っていた。おもな仕事である児童虐待問題に心を痛め、別れた夫との間の娘ルーシーの成長を見守り、恋人の私立探偵アルバート・サムスンと過ごす時につかのまの安らぎを見出す。ある日、アデルの事務所に強盗が押し入った。その男は事務所が取り扱ったケースのAからHまでのファイルの中から、どれかをコピーして立ち去った。目的不明の強盗事件のほとぼりも冷めやらぬうちに、新たな問題が事務所に持ち込まれた。若い母親が幼い女の子2人とともに失踪したというのだ。だが、まさかこれらの事件が背筋の寒まなるような驚くべき深淵を徐々に覗かせていこうとは、アデルにも予想できなかった…。圧倒的に人気を誇るハードボイルドの旗手が、サムスンの恋人、新ヒロインのアデルを鮮やかに送り出す最新長篇。