小説むすび | アイスマン

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母親が死んだ今、ビルの収入はまったくゼロになってしまった。母の死を届け出ず、死体を寝室に隠すところまでは知恵がまわったが、送られてくる年金の小切手を換金することが出来ないのでは、まったく同じことだ。もはや母親が溜め込んでいた食糧も底をつき、どうにもならない瀬戸際まで追い込まれていた。そこでビルが思いついたのは強盗だった。遊び仲間二人をさそって、手近な屋台を襲い、売り上げ金をいただくのだ。だが、やはりと言うべきか、襲撃は失敗に終わった。うろたえた仲間が店員を射殺してしまい、警察に追われて逃走中に起こした事故で仲間の一人は死に、金は沼に沈んだ。逃げ込んだ沼地ではもう一人が蛇に噛まれて死に、追ってきた警官も銃の暴発で命を落とし、ビル自身も虫の大群に襲われる。半死半生で沼地を抜け出したビルは、旅回りのカーニバルに拾われた。だがそこで暮らしていたのは、いままで考えたこともないような連中だった。やむなくそこへ身を隠し、彼らと生活を共にしながら逃亡を決意するビルだが、やがて…『ボトムズ』でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を獲得したランズデールのパワーが全開された会心作。

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