小説むすび | 白い久遠

白い久遠

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三軒茶屋から世田谷線で数駅、裏路地にひっそりと佇む『藤屋質店』の特徴は、今どきの高級ブランド品だけでなく、骨董の類いが持ち込まれる機会の多いことだ。店主の健三郎がかつて骨董店にいたことがその理由である。そのため、涼子が美術館の学芸員の仕事を辞め見習いで入った時から、質屋の商いで持ち込まれる宝飾品やブランド品に加え、骨董類についても対応できるようにと、様々な品物について勉強させられている。ひとりで接客する際は、その成果をいやでも試されるのだが、それは涼子の前職での経験と似ていた。目利きの元学芸員が織りなす優美な連作ミステリ。

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