小説むすび | キャプテン

キャプテン

キャプテン

ナーシング・ホームだと?聞こえはいいが、老人用の強制収容所じゃないか。ここでおれは“キャプテン”と呼ばれている。海軍大佐だったからじゃない、警部だったのだ。それがどうだ。何十年ものあいだ社会正義のために尽してきたあげくが、子供たちにも見捨てられ、こんな老人ホームで廃物扱いとは。実は今おれの手もとには、こっそり持ちこんだ拳銃がある。おれを、老人を虐待する奴らは許せない。だからこれでおれは、おれは…。

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