サリエリはクラスメイトを二度殺す
才能と嫉妬と友情が重なって不協和音となり、ピアニスト六人は悲しみの旋律に呑まれていく。朝里学園大学附属高校の卒業演奏会の最中に、出演者の恵利原柊が音楽科クラスメイト首席の雪川織彦を殺してしまう。作曲家アントニオ・サリエリがモーツァルトの才能に嫉妬して毒殺を企てた説にちなんで、事件は「サリエリ事件」と呼ばれた。演奏会に出た残りのクラスメイト男女四人は朝里学園大学に進学し、四年後、同じ卒業演奏会で再び顔を合わせることに。そして、演奏会の最中に再び級友が殺される事件が起こってしまう。何故、二度も殺人事件は起きたのか。週刊現実の記者である石神幹生は二つの事件を追っていた。