小説むすび | 信長幻記 覇王欧州伝

信長幻記 覇王欧州伝

信長幻記 覇王欧州伝

息が洩れるような笑い声が御殿内にこだまする。ここは、天正10年6月2日早暁、京都四条西洞院本能寺。天下一統を目前にした織田信長切腹の間であった。「上様をここより脱出させたい」刃を握る信長を前に、歯の抜けた口で笑う奇妙な男が現われた。(こやつどこからはいってきた?)訝しむ信長に対しさらにつづけて、「海の向こうにお逃げなされ。堺湊にポルトガル船が待っています」と途方もない囁きをし、また奇怪な笑い声を上げた。なにかに憑かれたように無言でうなずいた信長の額に怪人の指が触れたとき、覇王の新たなる伝説がはじまった-。

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