小説むすび | 汚名

汚名

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イザベラはローマの街角のさびれたカフェで、身重の体を抱え、住み込みのウエイトレスとして働いていた。愛するアントニオにいわれのない濡れ衣を着せられ、豪奢なアパートメントから身ひとつで追い出されたあの日、彼の兄ジョヴァンニは、弟の誤解を解いてやると言ったのだ。藁にもすがる思いで彼についていったイザベラは、長年にわたる兄弟間の確執など、知るよしもなかった。ジョヴァンニはイザベラに慣れない酒を飲ませ、そして…。絶望の淵をさまよいながらひっそりと身を隠すイザベラの前に、あろうことかアントニオが現れ、蔑みの形相で驚愕の事実を告げた。「兄は死んだ。そして、なぜか君に莫大な遺産を遺している」『生け贄の花嫁』で鮮烈なデビューを飾った大型新人の新作。イタリア人富豪兄弟の狭間で残酷なまでに翻弄されるイザベラ。いわれなき汚名の元凶となった兄亡きいま、アントニオの愛を取り戻せるのか。そしておなかの子の運命は…。

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