小説むすび | 靴のないシンデレラ

靴のないシンデレラ

靴のないシンデレラ

「助けて!雇い主に私たちの赤ちゃんを奪われそうなの!」大聖堂に駆け込んだスカレーレットは2000人の列席者の背後から叫んだ。祭壇に立つ花婿はイタリア出身の辣腕経営者ヴィン・ボルジアー8カ月前、バーで出会った彼の魅力に抗う術もなく純潔を捧げた翌朝、彼の身分を知ったスカーレットは名前も告げずに姿を消したのだった。突然の珍客に驚きながらもヴィンは彼女を追ってきた雇い主を追い払い、政略結婚を取りやめて、スカーレットに父親鑑定と婚前契約を要求した。屈辱的でがんじがらめの条件のもとに、愛なき結婚をするなんて…。傲慢でセクシーな黒い瞳に見据えられ、彼女の心は千々に乱れた。

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