小説むすび | 汚れた顔の天使

汚れた顔の天使

汚れた顔の天使

1789年英国。孤児のプルーデンスは、冷たい雨が降りしきるなか、宝物のブローチだけを手に、南を目指して歩いていた。人使いの荒い北部の紡績工場から逃げ出して、もう3日。追ってくるかもしれない監督官の目をあざむくため、かかしの服を拝借し、腰まであった髪も切った。そんな折、ひょんなことからウェントワース卿セバスチャンと出会い、世にも恐ろしげな追いはぎから救われたうえに、食事と服も与えられる。自分が薄汚れた少年のようななりをしていたにもかかわらず、女性だと気づいたという彼に、ブルーデンスは胸のうずきを覚えた。高貴な身分のセバスチャンに恋する資格など、あるはずもないのに…。

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP