小説むすび | 伯爵と記憶をなくした娘

伯爵と記憶をなくした娘

伯爵と記憶をなくした娘

嵐が迫るなか、ずぶ濡れの娘は夜道を当てもなくさまよっていた。寒さと疲れで事切れる寸前、通りがかりの伯爵ジョナサンに救われ、彼女は近くの牧師館へ運ばれたが、自分の名前も出自もわからなかった。牧師夫妻は彼女を仮に“ベス”と呼び、親戚として共に暮らし始めるが、一部の上流階級からは怪しまれ、冷遇されてしまう。ああ、わたしを助けてくれた優しいあの人にまた会いたい…。自分の名前は忘れても、彼のことは一生忘れられない。そんなベスの願いは叶うこともないまま半年が過ぎたころ、夢にまで見たジョナサンと再会を果たすが、彼の挨拶に色を失った。「はじめまして。自己紹介させてもらえないか?」

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