小説むすび | 十六歳の傷心

十六歳の傷心

十六歳の傷心

半年前、ヴェロニカは結婚式当日に花婿のせいで大怪我をし、婚姻を無効にされたうえ、ごみのように捨てられた。不幸のどん底で脳裏に浮かんだのは、継父のやさしい顔だった。すがる思いで継父の家を訪れた彼女を待っていたのは、「父は半年前に亡くなった」という、息子コールの言葉ー。16歳のころ、ヴェロニカは義兄に熱い想いを寄せていたが、なぜかひどく疎んじられ、いつも冷たくあしらわれていた。時を経て男らしさを増したコールは、まさに大人の男だった。目を奪われているヴェロニカに、彼は蔑みもあわらに言った。「放蕩娘のお帰りか。どうせ父の遺産が目当てなんだろう?」

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