小説むすび | エーゲ海に散る

エーゲ海に散る

エーゲ海に散る

17歳のキャシーは両親を相次いで亡くし、家も財産も失った。唯一遺されたのは、父と行くはずだったギリシア旅行のチケットだけ。悲しみに沈む一人旅の彼女に、ある男性が救いの手をさしのべた。アダム・カナリスーアテネに造船所を持つ船舶王だ。キャシーは彼の白亜の豪邸へ招かれ、美しい部屋を与えられた。それは、アダムに結婚を迫る女性を退けるために、彼の婚約者を演じる見返りだったのだが、まだ若く純粋なキャシーには、荷が重い役割だった。ましてや、ずっと年上で近寄りがたいほどハンサムなアダムを、ほんとうに愛してしまったあとではー。

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