小説むすび | 王冠とクリスマスベビー

王冠とクリスマスベビー

王冠とクリスマスベビー

クリスマスイブだというのに、エロイーズは憂鬱だった。彼女はヴィンチェンツォ王子に長年、片想いをしていた。国王の愛人の娘だった私に、唯一やさしかった人。でも大きくなると、彼は私を“娼婦”という言葉でののしった。なのに、熱く求めてきたあの一夜だけは違っていた…。エロイーズはため息をつき、大きくなったおなかに手を置いた。ヴィンチェンツォは結婚も世継ぎも望んでいない。私はそんな男性の赤ちゃんを身ごもってしまった。ああ、聖夜に奇跡が起こって、彼が私と子供を愛してくれたら!

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