家族
雑誌記者の笹山真由美は、若年性アルツハイマーを発症した父に付き添い病院を訪れた。彼女はその病院のICUで、頭に包帯が巻かれ、複数の管につながれた意識のない少女・美咲が流す涙を目撃する。美咲の家族は殺害され、自宅火災の焼け跡から遺体で発見されていた。事件を調べ始めた真由美は、美咲が典型的なヤングケアラーだったことを知る。重度の障害者の兄と認知症の祖母の面倒を、看護師の母にかわって一人で看ていた美咲が、衝動的に家族を殺して放火したと考える警察の見解に違和感を覚えた真由美が突き詰めた衝撃の真実とは…?
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死を目前にした老父をめぐって、複雑にからみあう家族ひとりひとりの内面を、それぞれの独白の形で重層的に描き出した、亡き父への鎮魂小説「家族」。死の床でなお“性”への執筆を見せる老人と、それに最後まで向き合わざるを得ない医者の葛藤を描いた「さとうきび畑」などを収めた珠玉短篇集。著者自身によるあとがきを付す。 2003/08/01 発売