その人は、夏草の群れの中で汗と熱気に捕らわれて立っていた-。大学二年の夏、入野勝彦はSF作家・橘田千明のもとでバイトを始めた。子供のような橘田に苛だち、その妻に惹かれていく勝彦。だが、本当に惹かれていたのは-。