出版社 : 幻冬舎
ミステリ作家の西野冴子は、ストーカー扱いされた挙げ句、殺人事件の犯人として逮捕されてしまうが、一切心当たりがない。始まりは、彼女が受け取った一通のファンレター。些細な出来事から悪意を育てた者が十五年の時を経て、冴子を逃げ場のない隘路に追い込んでいく。残酷なほど計算し尽くされた罠に落ちる人間を描くサスペンスミステリ。
クリスマス・イブの夜、残業をしていた飛田旅人のもとに突然動画メッセージが届く。「このままでは死んでしまう。あたしにスズランを届けて」。動画ファイルの作成日付は2826年12月24日。メイと名乗るその少女は何者なのか。なぜスズランが必要なのか。旅人はメイのために、“ある方法”を使って、800年後の未来に旅立つことを決意する。
在宅医療専門看護師のわたしは日々終末期の患者や家に籠る患者とその家族への対応に追われる。末期がんだが告知を拒む陽気な患者に徐々に忍び寄る最期。院長は彼に病状を告げるのか?(表題作)卵巣がん末期の妻を支える夫は医者不信で次々、怪しい民間療法に縋っていた(「アロエのチカラ」)。リアルだが、どこか救われる6つの傑作連作医療小説。
将棋のプロ棋士への最終難関、奨励会の三段リーグ。十二歳の取海はこの最終戦で親友の相場に辛勝し、最年少プロに。相場は棋界を去るが、二十年後、意外な形で再会する。トップ棋士の取海に立ちはだかる将棋ソフトの制作者が、AI研究で注目を浴びる相場だったのだ。因縁の対決、再び!勝るのは将棋を続けた者の誇りか、捨てた者の意地か?
ライターの原田璃々子は、二十三区のルポを書くため、いわくつきの場所を巡っていた。自殺の名所と呼ばれる団地、怨念渦巻く縁切り神社、心霊写真が撮れた埋立地、事故が多発する刑場跡…。後ろ暗い東京の噂を取材する璃々子だったが、本当の目的は、同行する民俗学講師・島野の秘密を探ることだった。心霊より人の心が怖い、裏東京散歩ミステリ。
新人賞の選考に関わる編集者の刺殺死体が発見された。三人の作家志望者が容疑者に浮上するも捜査は難航。警視庁捜査一課の新人刑事・高千穂明日香の前に現れた助っ人は、人気ミステリ作家刑事技能指導員の毒島真理。冴え渡る推理と鋭い舌鋒で犯人を追い詰めていくが…。人間の業と出版業界の闇が暴かれる、痛快・ノンストップミステリ!
友人の除霊のため高校生の潤が訪れたお祓いコンサルタント事務所。高い料金に驚く潤にスーツにメガネの所長・高橋は「これはビジネスだ」と言い放つ。依頼を断念し霊能番組に出演した潤だが、イケメン霊能者ハルトのミスで霊に憑かれてしまう。ハルトに連れて行かれたのはまたまた高橋の事務所だった。霊と人の謎を解き明かすエンタメミステリ。
身体を求めてくる義父を殺したい女子中学生。所持金2千円、ネカフェ暮らしに絶望する30代男性。社会への愚痴を吐く老人…。砂漠のような毎日を送る全く接点のない5人が、ある瞬間から細い糸で繋がっていく。始まりは女子中学生のネット上の呟きだった。たった一歩踏み出しただけで生活に変化が現れ、遂には5人の人生が劇的に好転していく。
訳ありの顧客を抱えるVIP専門の警備会社・ブラックホークに、新しい依頼が舞い込んだ。警護対象は、警察のトップである警察庁長官。なぜ、身内である警察に頼らないのか。不審に思う最上らメンバーだったが、その直後、長官の執事が殺害される。捜査方針に疑念を抱いた公安の寒川は、独自の調べを進めるうちに、警察内のある組織に辿り着く。
交番連続放火事件、発生。が、犯人の目処は立たず。警察庁の謀報機関アサヒに「犯人は警官で、かつ警察内部で暗躍するスパイ組織」との情報が届き、アサヒはスパイ確保に動き出す。と同時に警察庁長官直轄の秘密警察“図書館”も始動。元警察官僚の著者が放つ、組織の階層の生態と権力闘争を克明に描いた警察小説にして本格ミステリの傑作!
主婦の小浜芳美は、新宿でかつての同級生、一柳貴和子に再会する。中学時代、憧れの男子を奪われた芳美だったが、今は不幸そうな彼女を前に自分の勝利を噛み締めずにはいられない。しかしー。二十年後、ふと盗み見た夫の携帯に貴和子の写真が…。「全部私にちょうだいよ」。あの頃、そう言った女の顔が蘇り、芳美は恐怖と怒りに震える。
家事と育児に追われる高村文絵はある日、中学時代の同級生、加奈子に再会。彼女から化粧品販売ビジネスに誘われ、大金と生き甲斐を手にしたが、鎌倉で起きた殺人事件の容疑者として突然逮捕されてしまう。無実を訴える文絵だが、鍵を握る加奈子が姿を消し、更に詐欺容疑まで重なって…。全ては文絵の虚言か企みか?戦慄の犯罪小説。
鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込みます。友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙…。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。大切な人への想い、「ツバキ文具店」があなたに代わってお届けします。
生い立ちも性格も体つきも対照的な女学校の同級生、佐倉玖美と沢井窓子。花嫁に憧れる二人はやがてそれぞれにファッション業界へ身を投じ、戦中から戦後の高度成長期にかけて、この国にブライダルビジネスを根付かせるー。女性の社会進出がまだ珍しい時代、彼女たちはいかに偏見や因習を乗り越えたのか。紆余曲折の足跡を鮮やかに描く感動作!
作家の桜川詩子は、醜い容姿がコンプレックス。それなのに、デブスな春海さくらは男達を手玉に取って、女神扱い。さくらを題材に小説を書くため詩子は、彼女の友人、母親など四人の女を取材するがー。“どうしてあんな女に私が負けるのか”。一人の醜女に人生を狂わされた女達の怒りと焦りが決壊する時、この世で最も醜い女の戦いが始まる。
ミス・ユニバース日本事務局で働く由希のボスは、NYの本部から送り込まれた美の伝道師エルザ。愛車ジャガーで都内を飛び回り、メディアにひっぱりだこの強烈な個性を放つ人物だ。彼女の元に選りすぐりの美女12名が集結し、いよいよ運命の2週間が開始。苛酷で熾烈なキャンプで嫉妬に悶え、男に騙され、女に裏切られ。そして最後に残るのは?
中学校の同窓会の幹事をするはめになった宏樹だったが、参加者は一向に集まらない。出席率を上げるため、宏樹はかつての仲間たちの消息を尋ねる。クラスの人気者、優秀な委員長、落ちこぼれ、そして、ずっと会いたかったあの人…。だが、それぞれが思い出したくない過去や知られたくない現状を抱えていた。切なくてほろ苦い大人のための青春小説。
二〇歳に満たない少年兵を布張りの練習機で敵艦に体当たりさせる特攻作戦が行われた太平洋戦争末期。整備士の深田隆平は練習機が特攻に使われるとは思いもせず、悪戯心で操縦席に武運長久の祈りを刻んだ。あと数日で終戦と噂されるが、そんな隆平のもとへ特攻隊員と思しき若者から匿名で感謝の手紙が届くー。実体験をもとに綴る奇跡の邂逅譚。