1995年11月20日発売
英雄色を好む、という。だが、色を好むために英雄をめざす男もいる。信長の妹・お市の方の美貌に魂を奪われた瞬間から、名もなき軽輩の天下取りへの夢は始まった。巧みな弁舌と憎めぬ猿面の陰の冷徹な権謀術数。ライバルを蹴落とし、敵同士を反目させ、はては本能寺の変をも演出した希代の謀略家・秀吉。確固たる歴史眼と人間洞察力をもとに、無類の想像力で描く風太郎版太閤記の魅力。
悪意のない、ほんの不注意から起ってしまった事件。しかも自分が手を下したわけでもなんでもない不可抗力的事故…。きっかけはそんな曖昧な出来事だった。しかしその残り火は、東京周縁部の町や村を炎でおおい尽くしていった。あたかもかつての田園地帯が近代に復讐するかのように…。社会心理の、微妙な、しかし本質的な変化を捉える名手・本岡類が放つ、新感覚ミステリー。
灰の国はいかにして甦ったか。九州高鍋の小藩から養子に入り、十七歳で名門上杉家の藩主の座についた治憲は、自滅か藩政返上かの瀬戸際にある米沢十五万石を再建すべく、冷メシ派を登用し改革に乗り出す。藩主や藩のために領民がいるのではない、との考えのもとに人びとの心に希望の火種をうえつけてゆく…。
重役の反乱を克服し、家臣や領民一人ひとりの共感をかちとりながら、地域と人を活性化してゆく鷹山の経営手腕とリーダーシップのすべて。“最も尊敬する日本人はウエスギ・ヨウザン”と、かつてケネディ大統領が語ったように、「愛と信頼の政治」を貫いた鷹山の不撓不屈、信念の生涯を描く。
死体の額には鋭い角で突かれたような痕があった。衆人環視のなか行なわれた謎の殺人。伝説の一角獣の仕業なのか。フランスの古城を舞台に、稀代の怪盗、警視庁の覆面探偵、HM卿が三つどもえの知恵比べを繰り広げる傑作本格推理。
郷里の先輩東大生を慕って東大受験に上京した美少年・米倉初穂であったが、先輩のマンションでハードセックスを見せつけられて価値観一変、受験などなんのその、大企業会長夫人にデートに誘われ熟女からの個人授業に欣喜雀躍、その楽しさを満喫し尽したかと思ったが、社内抗争・権力闘争の渦中に放り込まれるはめに…。若さあふれる悦楽フルコース志願。