2001年7月25日発売
スローなブギにしてくれスローなブギにしてくれ
七月。夕暮れの第三京浜を疾走するムスタングから次々とほうり出される仔猫。少年は一匹を拾い上げ「死ぬときはいっしょだ」と、ムスタングをしゃにむに追いはじめる…。オートバイで走ることでしか生の実感を得られない少年と、仔猫に切ない愛情を注ぐ少女との出逢い。行き場のない若さの倦怠を鮮やかな筆致で描き、七〇年代後半から八〇年代に圧倒的支持を受けた片岡文学の名作をニュー・エディションで贈る。表題作のほか『ハートブレイクなんて、へっちゃら』など四作品を収録。
取り扱い注意取り扱い注意
「僕」こと鮎川英雄には唯一の才能があった。それは「女を蕩けさせ夢中にさせる」こと。県庁の役人として、熱意はないがそつなく仕事をこなし、複数の女を適宜使いわけて過ごす日々。このまま無難に流れていくかと思えた「僕」の人生は、しかし、叔父・酔助の登場でじわじわと変化しはじめる。「夢と現実の人生を総取っ替えしてもいい」という叔父。いつしか「僕」は叔父とそのニンフェット・鈴村綾とともに無謀な計画に加担することに。果たして「僕」に「大いなる一瞬」は訪れるのか。
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