2005年11月発売
昭和40年代、高度成長期日本。3種の神器と謳われた欲望の象徴・自動車をめぐって、各メーカーは熾烈な争いを繰り広げる。ライバル会社を欺き、出し抜き、機密を盗み出す“産業スパイ”の世界をあますところなく活写、1962年に発表されるや一躍ベストセラーとなり、「企業小説」という新ジャンルを開拓した傑作。同年、田宮二郎主演で映画化されている。
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれないー。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。
ニューヨークで、運転手から実力で大金持ちとなった伝説の男・東太郎の過去を、祐介は偶然知ることとなる。伯父の継子として大陸から引き上げてきた太郎の、隣家の恵まれた娘・よう子への思慕。その幼い恋が、その後何十年にもわたって、没落していくある一族を呪縛していくとは。まだ優雅な階級社会が残っていた昭和の軽井沢を舞台に、陰翳豊かに展開する、大ロマンの行方は。
生涯の恋に破れ、陰惨なまなざしのままアメリカに渡った東太郎。再び日本に現れた時には大富豪となっていた彼の出現で、よう子の、そして三枝家の、絵のように美しく完結した平穏な日々が少しずつひずんで行く。その様を淡々と語る冨美子との邂逅も、祐介にとってはもはや運命だったような…。数十年にわたる想いが帰結する、悲劇の日。静かで深い感動が心を満たす超恋愛小説。
エジンバラの街では、強者は弱者を喰らい、弱者は強者にへつらい続ける。難民とおぼしき男が無残に刺し殺された。その身元は不明だったが、捜査に乗り出したリーバス警部は男が謎の女に会っていたとの情報を得る。警察に電話をしてきた女には独特の言葉の訛りがあった…時同じくしてパブの地下で女の骨が発見された。リーバスは、骨が250年前に魔女ときめつけられ住民に処刑された女のものと知る。大学の研究室に保管されていたはずの骨を、誰が、なぜここへ移動させたのか…さらにリーバスは、ある強姦犯が出所してきたことを知る。被害者の女性はレイプされた後に自殺した。その妹は最近失踪を遂げていた。なぜか死んだ姉そっくりの恰好をしていたというが…次々と襲いくる事件と謎に一匹狼リーバス警部が立ち向かう、現代イギリス最高峰のミステリ。2005年度CWA賞ダイアモンド・ダガー賞受賞作品。