2009年7月28日発売
雪えくぼ雪えくぼ
日露戦争前夜、一人暮らしの女医の診察室に夜ごと忍ぶ流れ者の男。いけないことと分かっていても、年下の男との甘美な情事に溺れてしまう女ー。美しく、そしてわがままに育った老舗呉服屋の養女は、やがて若い歌舞伎役者に惚れ込んで、ふしだらな逢瀬を重ねてゆく。その奔放な火遊びの結末は…。世情と男に翻弄される女心を、しっとりと艶やかな筆致で描いた時代小説の傑作。
あなたが、いなかった、あなたあなたが、いなかった、あなた
「老い」のために、少しずつ崩れ始めた肉体に戸惑う青年と、南国のリゾート地を突然襲った悲劇との交錯。-日常性の中に潜む死の気配から、今を生きる実感を探り出そうとする11の短篇集。小説家は、なぜ登場人物の「死」を描くのかという謎を、ノルマンディ地方の美しい風景の中で静かに辿る「『フェカンにて』」。経済のグローバル化のただ中で、途方に暮れる一夫婦を描く「慈善」など。
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