2015年12月23日発売
わずか15歳の少年に課せられた命懸けのサバイバル。襲いくる姿なき敵、国家転覆の陰謀、究極の殺戮兵器、千年の伝統を持つ格闘秘術…。希代のストーリーテラーが放つ怒涛の青春アクション・エンターテインメント!
春休みの夜、少年は瀕死の鬼に行き逢った。血も凍るほど美しいその金髪の吸血鬼を彼は衝動的に助けてしまう。代償として自分が、人間をやめることになるとは知らずにー。『化物語』の前日譚にして“物語”シリーズの原点・特装版。
背任の疑いをかけられた大手銀行員・藤原道長は、妻と娘を置いて失踪した。人目を避けた所持金ゼロの逃亡は、ネットカフェから段ボールハウス、路上を巡り、道長は空腹と孤独を抱え、格差の底へと堕ちてゆく。一方、横領の真の首謀者たる銀行幹部たちは、事件の露見を怖れ、冷酷な刺客を放つー。逆転の時は訪れるのか。東京の裏地図を舞台に巨額資金を巡る攻防戦の幕が開く!
上海留学中に応召し、日本へ復員する列車の中で、矢田部は偶然出会った小椋に窮地を救われる。帰郷後、その恩人を探す途次、男が木地師であることを知った矢田部は、信州や東北の深山に分け入る。彼らは俗世間から離れ、独自の文化を築いていた。山間を旅するうち、矢田部は二人の女性に心を惹かれ、戦争で失われた生の実感を取り戻していく…。大絶賛を浴びた著者初の現代長編。
あるとき、母が死んだ。そして父はあなたに再婚を申し出た。あなたはコンタクトレンズで目に傷をつくり訪れた眼科で父と出会ったのだ。わたしはあなたの目をこじあけてー三歳児の「わたし」が、父、喪った母、父の再婚相手をとりまく不穏な関係を語る。母はなぜ死に、継母はどういった運命を辿るのか…。独自の視点へのアプローチで、読み手を戦慄させるホラー。芥川賞受賞作。
秘伝の継承を目前にして親方は逝き、弟弟子には先を越され、鬱屈した日々を送る看板職人・武市のもとへ、大店から依頼が舞い込んだ。しくじりは許されない重圧の中、天啓のように閃いた看板思案に職人の血が滾る。実現を前に立ち塞がるいくつもの壁。それでも江戸っ子の度肝を抜くこの仕事、やるのは俺だ。知恵と情熱と腕一本で挑む、起死回生の大一番!痛快無比の人情時代長編。
二十一世紀終盤。かの震災の影響で原発が廃止され、ネオン煌めく明るい夜を知らないこの国を、新たな巨大地震が襲う。第二の地震が来るという政府の警告に抗い、大学の校舎で寝泊まりを続ける学生たちは、カリスマ的“リーダー”に希望を求めるが…極限状態において我々は何を信じ、何を生きるよすがとするのか。大震災と学生運動をモチーフに人間の絆を描いた、異色の青春小説。
僅かに虚名が上がり、アブク銭は得たものの内実が伴わぬ北町貫多は虚無の中にいた。折から、藤澤清造の自筆原稿が古書の大市で出品された。百四十一枚の入札額を思案するうち、ある実感が天啓の如く湧き起こる(「形影相弔」)。二十数年振りに届いた母親からの手紙に、貫多の想念は激しく乱されるが…(「感傷凌轢」)。孤独な魂の咆哮を映し出す、私小説の傑作六編。
溥儀を皇帝に祭り上げ、帝政へ移行した満州国。だが楽土の風はそよとも吹きはしない。抗日連軍に参じた中国人や金日成を奉ずる朝鮮人がゲリラ戦を仕掛ける。蒙古、ロシア、ユダヤ、インド、民族の野心が地に蟠る。歴史の最前線で、敷島四兄弟はそれぞれの闇に抗いながら日々を重ねてゆく。遙かなる帝都を震撼させた二・二六事件。その報に揺れる大陸の日本人たちを描く、第四巻。
雨宮黎の前に、死んだはずの父親が現れた。家族を守るため罪を背負い、刑に服していたという父の存在に戸惑いを隠せない。そんななか、探偵社には女子高生の捜索依頼が舞い込む。ある資産家の愛娘で、アイドル志望の少女が消息を絶ったのだ。そして身代金を輸送中、黎までも拉致されてしまう。事件に浮上する、闇社会を牛耳る男とはー黎の奪還に命を賭す大神チーム、絶体絶命か!
七草は引き算の魔女を知っていますかー。夏休みの終わり、真辺由宇と運命的な再会を果たした僕は、彼女からのメールをきっかけに、魔女の噂を追い始める。高校生と、魔女?ありえない組み合わせは、しかし確かな実感を伴って、僕と真辺の関係を侵食していく。一方、その渦中に現れた謎の少女・安達。現実世界における事件の真相が、いま明かされる。心を穿つ青春ミステリ、第3弾。
重病から生還した34歳の作家シドニーはリハビリのためにブルックリンの街を歩き始め、不思議な文具店で魅入られたようにブルーのノートを買う。そこに書き始めた小説は…。美しく謎めいた妻グレース、中国人の文具店主M・R・チャン、ガーゴイルの石像や物語内の物語『神託の夜』。ニューヨークの闇の中で輝き、弦楽四重奏のように響き合う重層的な愛の物語。魅力溢れる長編小説。