著者 : 南海遊
「私の目を、最後まで見つめていて」そう告げた“道連れの魔女”リリィがヒースクリフの瞳を見ながら絶命すると、二人は1日前に戻っていた。母の危篤を知った没落貴族ブラッドベリ家の長男・ヒースクリフは、3年ぶりに生家“永劫館”に急ぎ帰るが母の死に目には会えず、葬儀と遺言状の公開を取り仕切ることとなった。葬儀の参加者は11名。ヒースクリフ、最愛の妹、叔父、従兄弟、執事長、料理人、メイド、牧師、母の親友、名探偵、そして魔女。大嵐により陸の孤島と化した永劫館で起こる、最愛の妹の密室殺人と魔女の連続殺人。そして魔女の“死に戻り”で繰り返されるこの超連続殺人事件の謎と真犯人を、ヒースクリフは解き明かすことができるのかー「館」×「密室」×「タイムループ」の三重奏本格ミステリ。
正暦1873年の初夏、私は傭兵と小説家と旅をした。国民的人気を博す小説家・バーダロンと時代遅れの傭兵・ソードは、大陸横断鉄道に乗車して西海岸へ向けて旅に出た。列車内でユナリア合衆教皇国一の大富豪であるジョナサンと発明家のニコラスと出会い、話に花を咲かせる最中、一同のもとに一人の少女が現れる。「-私を、ロアの“人形図書館”まで、送り届けてください」何者かから狙われている少女・イヴの護衛依頼を引き受けることにしたバーダたちは、時間を共にするにつれイヴとの絆を深めていく。しかし少女の内包する“秘密”は、安穏な旅路を波乱の冒険へと変えていく…これは鉄の剣とタイプライター、そして金輪の物語。
大陸横断鉄道が完成し、蒸気機関の煙が街を覆う高度成長の時代ー教会が絶対的な権勢を誇るユナリア合衆教皇国では、傭兵稼業は時代遅れの仕事になりつつあった。教皇庁により勤め先を潰された一人の傭兵・ソードのもとに、国民的人気を博す小説家・バーダロンから依頼が舞い込む。それは地図に載らない魔の山にあるとされる“伝説の街”への旅路の護衛だった。互いを罵り合いつつも、徐々に絆を深めていく二人の旅は、やがて国家と教会を巻き込む謀略へと巻き込まれていく…これは鉄の剣と、タイプライターの物語。