著者 : 江波光則
いつかの未来。大陸の二大国は東西に伸びる国境線で戦争中。兵士は全てロボット。最前線を二体のロボットがポンコツトラックで走る。仕事はスクラップ集め。趣味は兵士ロボット向けの「ラジオ番組」24時間配信。「戦場からお送りするファー・イースト・ゴー・ウエスト・チャンネル。こちらマシューとガルシア。俺たちは砲弾飛び交い兵士同士が壊し合う中、暢気に旅を満喫中」。ある日彼らは戦場にいるはずのない「人間」、少女マリアベルを見つける。二体と一人の旅が始まった。彼女の家があるという「西の果て」を目指して。
フェアレディに積まれた大量の万札。それは白夜を混乱に陥れるには十分なものだった。庵とともに無明拳の師匠との合流する最中、暗殺者集団に襲撃を受ける白夜一向。さらにフリドスキャルブを強襲する「我者髑髏」を名乗る二人組。黒曜によって明かされる「神座講」と呼ばれる金融システムと共に御三家を引きずり落とすための楔は、置いてきた白夜の過去の扉をも開き始めた。白夜は家族を襲った悲劇からの逃亡を経て、遠回しをしながら、ようやく真実を手にする権利を得たのかもしれない。そしてその悲劇の本質は、また神座市の重力にとらわれていた。
フリドスキャルブを強襲した氷室奉先に出くわした白夜たち。戦闘を余儀なくされた彼らは、最強の称号・玄翁神社祭司たる氷室の脅威を知ることとなる。死にたがる氷室。最強の男は、その暴力をより強い力で否定されてたがっていた。己の終わり方を探して、終わりに向けて生きていた。かつて神座市御三家をも脅かしたという純粋な暴力。そして、それを再び祭り上げようとする存在たち。白夜たちは、それらの思惑に翻弄されながら、再び氷室の前に立つ。そして、終わりのチャイムを鳴らす、無明拳の静かな拳撃が放たれるー。
南雲蓮を陥れた長谷川黒曜。殺し屋・鏑木翔馬を退けた筧白夜。黒曜の企みによって掘り出された南雲家の埋蔵金をめぐり、南雲、御子神、羅紋の三家の状況は刻一刻と変化しはじめていた。そして、彼らの周囲には様々な人間が訪れる。南雲家次男。無明拳の師匠。白夜の元カノ。最強を目指す仙武館道場の格闘家。玄翁山の神座最強伝説。白夜の近辺に、様々な過去の残滓たちが這いよりはじめる。その陰には、三家の均衡を崩しかねない第四の勢力ー力のみで権力を脅かすだけの組織があった。男たちの、反撃の狼煙があがる。
神座市という町で起きた一家殺害事件。生き残りである筧白夜はその記憶から逃れるように地元を離れ、その日暮らしを送っていた。だが、その日常がある日突然壊される。同じく、神座市出身だと名乗る、同僚の長谷川黒曜の登場によってー。さまざまな人物たちの思惑は、狭くも広くも神座市に集約されてゆく。白夜は、いつしか神座市の覇権を巡る南雲、羅紋、御子神という三家の争いに巻き込まれ、かつて習得した殺人カラテを武器に、己の家族が受けた悲劇の真相へと迫っていく。鬼才が描く、新たなクライムサスペンスシリーズ!
ある傭兵部隊が盗み出した30億円相当のダイヤモンド。違法ダイヤモンドを現金に換えるべく、彼らがダイヤを輸送している途中に事件は起きた。バニーガールの強襲。一刻を争う傭兵部隊は、日本に人員を派遣し30億円を抱える男との連絡をとる。その他様々な組織が入り交じり、この大きな山をかすめ取ろうと跋扈する。ダイヤと金を巡る混沌が、再び世界に首切り兎を呼び込んだ。巫女、カウガール、チャイナ服。各組織が持つ、最強の戦闘員同士の戦いが幕開き、四者四様の殺し合いの火蓋が切って落とされる。果たして本当の勝者は誰なのかー。
ある日、仲間の一人が路地裏で首を切られて死んだ。心当たりは、もちろんあった。そして、街には不思議な噂が流れ始める。-バニーガールが殺しに来る、と。俺たちは、決して犯してはいけない罪を犯した。その贖罪にはもう遅く、しかし罪を受け入れるにはまだ早い。俺たちは、この理不尽な死神から、逃げたり立ち向かったりしながら、緩やかに死んでいく。そして、今宵も彼女はやってくる。ピンヒールを優雅に履いて、真っ白な髪の綺麗な顔で、ご丁寧に赤いグラサンまでかけている。-そうだ、バニーガールがやってくる。
『鳥葬』『密葬』から数年。彼を取り巻く死の呪縛は未だに剥がれなかった。自殺を望むようなポエムを書きつづる少女の面倒を押し付けられた陵司は、ある日、いじめが原因で首を吊ろうとする少年に出会う。彼のことを助けた陵司は、街ぐるみのもめ事に巻き込まれるが、かつて自分が犯した罪や、そのおかげで積み重ねてきた経験を活かして、社会の荒波を受け流していく。余りにも都合よく陵司の周りに集まる死。その原因を探るため、陵司は再び立ち上がる。彼らを人間にしてやるためには…。暗黒青春群像劇ここに完結。
同級生にモップで殴りかかった陵司に一か月の停学処分が下された。彼を取り巻く人間関係が、この一撃で乱れ始める。停学免除を餌に陵司を表舞台に晒そうとする不良教師。襲われたことを逆手に陵司をゆする同級生。そして、かつて「殺人」の場を共にした幼なじみ達。彼らの存在が、陵司の日常を脅かしていく。かつて無いほどに追い詰められた陵司は、全てを解決する一手を投じるが…。少年はもがく。十数年、孤立という壁で守ってきた弱い心を葬り去って。江波光則が描く、暗黒青春群像劇第二弾。
“魔術師”を自称する謎の黒人ドラッグディーラー、スカンク・バッツが調合した『魔法』の薬物“スーサイドクラッチ”が引き起こす強烈なバッドトリップによって脳と体に深刻な後遺症を負った秋斗。「殺されたい」と願うゴスロリのリストカッター少女、美尋とともに自堕落な生活を送る彼だったが、ふとしたきっかけから情熱を取り戻し、行方不明のかつての想い人、沙都の捜索へと乗り出したとき、死線を越えた異常きわまる世界が彼の前に立ちはだかるー!最高潮!江波光則の危険な小説。
幼なじみの八尋が死んだ。ラブホテルで首を吊って。他殺か?自殺か?事件の前日、主人公・陵司に送られてきた「過去に殺される」というメール。ある日届いた、「次はお前を殺す」というメッセージ。八尋がネット上に拡散した「殺人」という偽りの記憶。-陵司は、八尋の葬式で再会した旧友・桜香と共に、事件の真相を探り始める。かつて、「殺人」を犯した陵司たちを襲うものの正体は?八尋の死が、「殺人」以降、絶交していた5人の少年少女を結びつける。一体、誰が八尋を?その真相は、切ない。青春群像ミステリ、開幕。
敵討ちでもなく、義憤でもなく、ましてや正義の味方というわけでもなく、「ただの憂さ晴らし」のためだけに、壮絶ないじめ事件の首謀者である凌麻をとことんまで追い込む“ならず者”二人組、弦と春鷹。拉致、傷害、監禁、尋問…あらゆる手段を問わずに暴れ回る弦の生き様に惹きつけられていくかつての仇敵、倫子。どこまでも無軌道な青春を貫く彼らの行く手に現れる黒人の“魔術師”スカンクの謎めいた言葉ー「魔術師を怒らせると何をすると思う?」-の果てに描き出される、明るい破滅の姿とはー。
悪徳資産家として名を馳せた父親の逮捕をきっかけにスクールカーストの頂点から最底辺へと転げ落ち、ガスガンの的にされ、左目を潰された雪路。「誰も信用するな。損得だけで考えろ」体に染みついた父の教えに則って復讐という名の取引を開始した雪路とその恋人・真波の前に現れた謎の黒人ドラッグディーラー、“魔術師”スカンクは妖しく囁くー「俺の薬物は、魔法だ」熾烈ないじめを迎え撃つ十七歳の凶弾の行方はー!?江波光則が圧倒的な筆力で咲かす悪と暴力の華。著者初のシリーズが満を持して開幕。
日々希に虐められすぎて不登校になっていた遼介が、卒業式にやって来るらしい。日々希に、そしてずっと見て見ぬふりをしていた私たちに復讐するために。他人のすべてを知りたいという欲求にあらがえない私は遼介の部屋を訪ねる。そこで出会った遼介は、赤の他人と見紛うばかりに鍛えあげた体で、禍々しい形に削りだしたバットを私に突きつけた。「全員殴り殺してやる」。私は、心待ちにしている。遼介が復讐を遂げに現れる瞬間をー。癒やされることのない心の傷を負った少年と少女のためのサバイバルノベル。