著者 : 篠原美季
貴公子シモン・ド・ベルジュが、ロワール河流域の城の倉庫で見つけたのは、変わった形の小瓶。「この蓋、開けるべからず」の注意書きが添えられたそれには、財宝のありかを教える悪魔が封じ込められているらしいが…。(書き下ろし作品「カタツムリの軌跡」)。ほかに文庫未収録作品「ユウリ・フォーダムの探しもの」「コリン・アシュレイの片づけもの」も入った、ファン待望“欧州妖異譚”シリーズ、珠玉の特別編!
貴公子シモン・ド・ベルジュが不思議な縁で借りることになった物件は、異国の地・日本の港町横浜にある、いわくつきの古い洋館。そこにはどうやら幽霊が出るらしく…?(書き下ろし作品「黄色い館の住人」)ほかに文庫未収録作品「ロワールの羊は二乗の夢を見る」「横濱ラプソディ」「修行場の異邦人」「シモン・ド・ベルジュの人には言えない秘密の事情」の入った“欧州妖異譚”シリーズ珠玉の特別編!
十九世紀、大英帝国ヴィクトリア朝。ウィリアムと仲違いをしてプラントハンター休業中のネイサンは、知人の転地療養に付き添い、レベックを伴って出国した。一方、退屈な日々をひとり紛らわすウィリアムは、ある城でレベックそっくりの肖像画を目にする。その頃、旅の途中でネイサンと別れたレベックは、植物採集をするうちに迷い込んだ山道で“フローラ”と呼ばれた女性から一つの使命を与えられ…?比類なき公爵家のプラントハンターと奇蹟の花々をめぐる物語、ここに終幕!!
「人を惑わす太陽の雫よ。知られてはならない秘密とともに迷いの道の下に眠れ」かつてサン・ピエール学院の生徒のひとりが“あるもの”を土の下に埋めた。それは中に「人魚の涙」ともいわれる水の入った稀少かつ不吉な琥珀で…。宝石と泉の女神に愛された少年・ルネが、生徒たちの間で起きる「宝石にまつわる謎」を解く!サン・ピエールの不思議事件簿、ついにクライマックス!
サン・ピエール学院では、秋学期の終わりが近づいていた。そんなある日、ルネのもとに“女神”から銀細工の小箱が届く。箱の中身は赤縞瑪瑙の指輪だったが、ルネはうっかりその指輪を失くしてしまう。しばらくして、ルネと同室のアルフォンスのシチューから件の指輪が出てくる。生徒たちは「サモス王の呪いの指輪だ」と騒ぎ、アルフォンスが呪われたと噂するが…。少年たちのマジックファンタジー第2弾!
十九世紀、大英帝国ヴィクトリア朝。ネイサンがニュージーランドから帰国した時、ロンドンではシダの観賞が大流行していた。『シダ狂い』の間では、幻のシダの花の伝説まで流布する始末。だが、その花が咲く場所を偶然知って見に行ったネイサンは、同行したレベックから、それが悪魔の支配下にあると聞かされる。そしてウィリアムが十年前のある事件を調べた時、この“幻のシダの花”が関係してきたことから…?比類なき公爵家のプラントハンターと奇蹟の花々をめぐる物語、第四弾!!
唯一信じていた友達の仕打ちによって登校拒否になってしまったルネ・イシモリ・デサンジュは、故郷日本を離れ、スイスの山並みを望むサン・ピエール学院に入学した。新入生を対象としたオリエンテーションに参加した彼はその途中で、この世のものではないなにかと遭遇する。動揺するルネに声をかけたのはヨーロッパの小国の皇太子、リュシアン。短い会話をかわすうちに互いの視線が絡み合うー。
十九世紀半ば、大英帝国ヴィクトリア朝。王立園芸協会とウィリアムのために中国奥地へと赴いたネイサンは、首尾よく新種の黄薔薇を入手した。採取した植物を香港から送ったものの、ある事情から帰国を遅らせるネイサンをウィリアムはロンドンでやきもきち待つ。一方ハーヴィーと共にパリにいたレベックは、その地で小さなトラブルに巻き込まれていた。それが薔薇を巡るいくつかの事件への発端となり…?比類なき公爵家のプラントハンターと奇蹟の花々をめぐる物語、第三弾!!
かすかに春の息吹が感じられるようになってきた季節。エリザベス・グリーンに心を奪われているナアーマ・ベイは、ある男から取引を持ちかけられた。赤いリボンを彼女に渡せば、巡り巡って彼女はお前のもとにやってくると。男は、その代わりにあるものを「ミスター・シン」の店に持っていくよう指示する。エリザベス、ベイは男の遠大な策略の駒だった。男の正体は果たして?そしてユウリは二人の危機を救えるのか!?
日が暮れた冬のロンドン。かつてユウリを拉致監禁し、万華鏡の謎を聞き出そうとしたナアーマ・ベイが突然現れた。自分は黒魔術を使う秘密結社から足を洗ったが、共に属していたマーカス・フィッシャーが組織を裏切り呪いをかけられたことを告げるためだった。生ける屍のような姿でユウリの目の前に現れたマーカスは、対抗魔術を知るアシュレイに連絡を取り助けを求めていることを伝えて欲しいと懇願する。
シモンが寮長を務めるヴィクトリア寮では、ラッキーな生徒の話題で持ち切りだ。ユウリは彼の近くで不可解なモノを見つけていた。数日後アシュレイは、同じように幸運に恵まれたのち不運な最期を迎えた過去の寮生の話を聞いた。ユウリとシモン、そしてアシュレイは謎を突き止めようと、歴代寮長の記した「寮長日誌」を繙く。書き下ろし作「フォルトゥナの車輪」に加え、ファン垂涎のショートストーリー三編を収めた著者自選集第二弾!
シモンの双子の妹たちの社交界デビューが決まった。衣裳には日本の着物生地を取り入れたいというベルジュ家母娘のこだわりで、シモンはユウリと共に老舗呉服屋で相談することになったが、店内で突然神隠しに遭う。同じ頃アシュレイは没落貴族のいわくつきの品を手に入れていた。手にしたものに災いをもたらすという品はシモンの失踪と関係があるのか!?書き下ろし作「瑞鳥の園」に加え、ショートストーリー二編を収めた著者初の自選集。
秋期休暇である「リーディング週間」のタイミングで、シモンからベルジュ家一族の式典に招かれたユウリは、その敷地にある見慣れない建物に気づく。それは、一族の子供達を楽しませるための屋内迷路だったが、ハロウィーンの晩に三人がそこで行方不明になってしまう。この地で18世紀にあった、人喰い鬼がでるという迷宮と関係があるのか?ユウリは死者の導きにしたがい、迷路の先に進む。そこで見つけたものとは!?
秋の気配が漂うロンドン。パリの情勢が不安定なためフォーダム邸に泊まっていたシモンは、ベルジュ家秘蔵のダイヤモンドを大英博物館に展示する交渉を任されていた。交渉当日、シモンとの待ち合わせで大英博物館に来たユウリは、偶然奇妙な形の石を拾う。それは古代メソポタミアと現代を繋ぐものであり、世界の崩壊を引き起こす代物だった。ユウリは大切な人々を守るため不思議で危険なゲームに身を投じた…。
季節は夏。ハリウッドデビューが決まったオニールに誘われ、ユウリは友人達と一緒にシモンのプライベートジェットでニューヨークへとやってきた。仕事で忙しいシモンとは別行動で、ユウリはオニール達とともに「呪われた館」、ウッドポール・ハウスに滞在することに。悪霊から逃れるために建て増しを繰り返したという館では、宿泊者が行方不明になってしまった!そして、ユウリが遭遇した謎の少年の正体は!?
「恋する石」というウェブサイトで、夢が叶うと評判のパワーストーン・アクセサリーを製作販売しているオリヴィア。彼女が身に着けたハーキマーダイヤモンドを見たユウリは、その石が特別なものだと感じた。一方、ベルジュ家所蔵の宝石類が、ルーブル美術館で企画展示されることに。シモンはアシュレイから、タイタニック号と共に沈んだベルジュ家に因縁のあるダイヤモンドが引き上げられたという情報を得るが。
チェルシーで開催される世界的なフラワーショーで、樹木の精霊「緑のジャック」の目撃が相次いでいた。シモンと会場を訪れたユウリは「願い事の木」という展示の側で、行方不明になっていた少女を見かけ手を差し伸べるが、触れ合う直前に彼女は消えてしまう。一方、アシュレイはウエストエンドの骨董商に頼まれ、何かが封印されていた木箱を探すことになるが。三人は、精霊と木箱の秘密を解き、少女を救えるか?
死者の魂が見える半井結人は、西早稲田の路地裏にひっそり佇む食堂「あおやぎ亭」でバイトを始めた。店主は、あの小野篁。出される食事は「魂が生まれ変わる」と言われるほど邪を払うパワーを秘めていた。篁の留守に訪れた女性客が「最後の晩餐」と口にした。寿命がわかる占い師にそう告げられたというのだ。一方、地獄の美少年・閻魔は、獄卒の失敗をカバーするため現世での仕事に結人をスカウトするのだが。