著者 : 篠原美季
卒業を控えた最後の春祭で、シモンとヴァイオリン協奏曲を弾くことになったユウリに、使ってほしいと持ち込まれた二つのヴァイオリン。ユウリは迷うことなく、卒業生でもある天才的ヴァイオリニスト、ローデンシュトルツのものを選んだ。それは二年前の思い出に繋がるからー。同室のシモンと、わかりあえず苦しんでいた、ユウリの不安定な精神に、忍び込んだ出来事とは。
シモンの異母弟、アンリの亡き母が残した「水の水晶球」を巡り、ベルジュ家に災難が訪れようとしていた。事件解決へ協力を申し出たアシュレイは、前日、ユウリをイタリア、コモ湖のホテルへ強引に誘う。アシュレイと過ごす危険な一夜の結末は…!?パリでのクリスマスイブの出来事は!?「龍の紋章」と表題作「Joyeux No¨el」の豪華二編収録。
開港後、急速に発展し西洋の雰囲気を醸し出す横浜居留地で、西洋骨董店「時韻堂」を営む深川芭介は、怪しいと思いつつも、港で働くカンカン虫の貫太郎が持ち込む出所不明の品々を鑑定していた。が、ある日、貫太郎が死んだ。その死に不審を抱く芭介は!?行方不明の少女の怨念が事件解決へ導く!開港一五〇周年の横浜、その開港前後を舞台に、地元で生まれ育った著者が思いをこめて描いた意欲作。
最上級生の卒業まであと数ヵ月、セント・ラファエロの生徒たちは、次期代表選挙に関心が集まっていた。だが、ユウリだけは雑木林の火事に重なるように見た悪夢が頭から離れず憂鬱だった。一方、「水の水晶球」を手に入れたシンクレアは使い手のユウリをおびきだすため、オスカーを拉致する。友を取り戻すため、グラストンベリーの洞窟神殿におもむく決意をするユウリ。衝撃のラストシーン。
英国の全寮制パブリックスクール、セント・ラファエロの最上級生たちは、半年後に卒業を控えている。そんな卒業生の一人、ユウリは従兄弟の幸徳井隆聖が関わる問題で悩んでいた。一方シモンは、義弟のアンリが暴漢に襲われたという連絡を受ける。犯人はアンリの母が持っていた『水の水晶球』を捜す男たち。水晶球の謎を追って、ユウリ、シモン、アンリ、アシュレイは再びイタリアへー。
警視庁捜査一課の刑事神原瑞希は、線の細い身体ながらエネルギッシュで、高い検挙率を誇っていた。だが上司でスタイリッシュな御堂千祥は、時に無謀な彼の行動を心配し、怒りすら覚え始めていた。そんなある日、瑞希と面識のある人気のグラビアアイドル、槇野マキがテレビ局内で殺された。一見華やかな世界の裏に隠された愛憎、無邪気そうな明るさのキャラの真実とは?瑞希が迫る。
『首に気をつけろ。失われし我が主の首が誘う』ユウリはロンドン塔のカラスにそう告げられる。さらに、予知夢を見るシモンの弟アンリからは、シモンが首を切り落とされる夢を見たと聞かされ、現実でも、学園の霊廟跡地では首なし死体が発見され、不安を募らせるユウリだった。シモンに迫る女の影、忍び寄る罠。霊廟跡地の謎。卒業まであと半年余り。どうするユウリー。
全寮制パブリックスクール、セント・ラファエロ。理事の一人が謎の死をとげ、彼の代理人だったアシュレイが理事に就任したことで、学園内は喧しい。そんな折、密かに霊廟跡地の秘密を探っていたオスカーに憑いている霊が見え、ユウリは一人頭を悩ませていた。除霊することはユウリの能力をオスカーに明かすことになる…。二人の関係が壊れても…。ユウリは決断した。
恒例の新年のお茶会で行われる「豆の王様」ゲーム。金貨の入ったケーキを引き当てた者が、一日総長の座に就くという楽しいゲームのはずだった…。が、ユウリに渡るはずだったケーキを代わりに受け取った下級生は、中世の騎士の亡霊に憑かれてしまう。一方ユウリのケーキには、乾燥したソラマメが…。ユウリにも伸びる魔の手!!ソラマメの意味は?シモンの力が必要な悪霊払いとは…。
華奢で端麗な顔立ち、少年っぽさの漂う神原瑞希。彼の上司である御堂千祥もまたモデル並みの体躯の持ち主。彼らは、その雰囲気に似合わず警視庁の特別捜査官の刑事でありよき相棒なのだが、最近の二人は、瑞希の縁談話でぎくしゃくしていた。そんな折、業界で有名なゲームソフトクリエーターが殺された。瑞希と見合い相手の黒川美咲のデートがその捜査の鍵を握ることに!?人気シリーズ第三弾。
「アンギヌムの壺」を見つけた者が後継者ーという不可解な遺言書。オスカーは顔も見たことのない実父の家の遺産相続争いに巻き込まれていた。一方、聖ユコラウスの日のプレゼント交換会の話題でもちきりのセント・ラファエロ。だが、ユウリはオスカーが襲われる夢や頭に載っている壺が見えてしまい不安をつのらせていた。呪われた血にユウリの誓願が響く。
ハロウィーンを目前に控え、日に日に生徒たちが興奮ぎみの全寮制パブリック・スクール、セント・ラファエロ。だが、ユウリただ一人が、学校を覆う陰々とした空気や届いた意味不明の手紙に不安を感じていた。そんな折、悪戯妖精ロビンから妖精王の客人だったヒューが行方知れずだと聞かされる。彷徨うヒューの魂ー。連れ去られたエマーソン。闇夜のハロウィーンでいったい何が。
ハロウィーンの準備でてんてこ舞いの全寮制パブリック・スクール、セント・ラファエロの生徒たち。だが、そんな喧騒をよそに、霊廟跡地では精霊召喚の儀式を行う怪しい集団がいた。ベルジュ家の災難を解決して、フランスから戻るユウリとアシュレイは、濃い霧で寮に辿り着けない。「迷ったではなく、迷わされた」というアシュレイ。学園でいったい何が起こっているのか。
モデル並みの体躯と精悍な顔立ちの御堂千祥と相棒で中性的な顔立ちの神原瑞希。彼らは警視庁の個性派集団「グループ・イレブン」に所属する刑事。ある日、二人は千祥の元妻・小夜子も出店する宝石展へ向かい、イタリア人のパトロンを紹介される。しかし数日後、そのパトロンが殺害された。持つ者を不幸にするというブルーダイヤの呪いか!?青と赤の輝きに惑う事件の真相は。
父、ベルジュ伯爵が倒れ、急遽フランスに戻ってしまったシモンにユウリは不安と寂しさを募らせる。一方、予知能力のあるシモンの異母弟アンリは、ベルジュ家が崩壊するのを見てしまい、父の部屋に残された金貨を手がかりに原因をさぐろうとする。突然アシュレイと一緒に現れるアンリ…。金貨の意味は!?イギリス、フランス、イタリアを舞台に、アンリの出生の秘密が明らかに。
夏休み。富士山噴火の危機のなか、一足先に日本に帰国していたユウリを追って、シモンも来日した。その頃、ユウリは従兄弟であり、霊能者として絶対的な権威を持つ幸徳井隆聖に禊祓いをさせられていた。隆聖は富士山の沈静化のためユウリと一緒に、術を施そうとしていたのだ。一方、骨董品を持って京都に来たアシュレイ…。ユウリをめぐるスリリングで、アブナイ休暇。
来期の生徒自治会代表を選出するために活気づく学内。ダーウィン寮の寮長に内定した頭脳明晰、容姿端麗なバフォートが何かにつけシモンに擦り寄っていた。彼はアシュレイとただならぬ関係だった生徒で、ユウリは心穏やかではなかった。一方、「答えられていない問いの答え」とアシュレイからユウリの首にかけられた十字架のペンダントの意味は…!夏至前夜祭に何かが起きる。
オニールに請われカテリナ女学院で上演される悲劇『ハムレット』に、オフィーリア役で、出演することになったユウリ。顔合わせのため、学院を訪れた日、ユウリはヤナギのそばに立つ朧な影を見てしまう。-オフィーリアが水の中から蘇ると人が死ぬー。カテリナ女学院にはオフィーリアを演じると、水難に遭うという呪詛がかけられていた。そして、ユウリもまた…。
クリスマス待降節も近いある晩、突如、轟音が響き、魔術師という異名のアシュレイが死人のような冷たさで倒れていた。その時、ユウリは腐り果てた彼の幻影を見てしまう。アシュレイに取り憑いていた白い服の修道士が見えないことに不安を抱くユウリ。ユウリに贈られた謎のプレゼントには、以前、アシュレイとおこなった交霊術で使った黒い石と『ゲーム再開』のメッセージー。アシュレイの身に何が。