著者 : 雨宮沙織
初めて恋した眠り姫初めて恋した眠り姫
「薫子は、草凪さんが好きなんでしょう?」やめて。わたしは、あの人が苦手なのに。一緒にいたくないのに。どうして、どこから、そんな結論になるのだろう。恋をするっていうことは、その人と、どこまでも、一緒にいたいって思うことよ。会いたくもない人に、恋しているわけがない…、そう思っていたんだけれど…。-大好評『紫苑学園物語』第3弾。
片想いのジュリエット片想いのジュリエット
紫苑学園高等学校。伝統と、広大な敷地と、きらめくような卒業生たちに彩られた名門。なぜこのわたしが、こんな学校に入学したのかというと、ほかの高校の受験にすべて落ちてしまったからなんだ。本当は、わたしだって、もっと自由で、庶民的な学校で、のびのびと高校三年間を送りたかったんだけどな。そんなわたしが、入学早々、なんと、生徒会の美青年たちと演劇祭で『ロミオとジュリエット』を共演することになってしまって…。
ほらね、きっと言えるほらね、きっと言える
お兄ちゃんの親友の欅さん。わたし、初めて会った日から、欅さんにずっと恋してる。だけど、その気持ちは、ずっと隠し続けてるんだ。なんでかっていうとね、うちのお兄ちゃん、柏木司は、とても出来のいい人で、おかげでわたしは、いつでも人から『柏木司の妹』としてしか見てもらえないの、だから、わたし、自分に自信が持てないの。それにね、わたし、知ってるんだ。欅さんにとっても、わたしは、ただの“妹”でしかないっていうこと…。
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