著者 : I-IV
首都を騒がす自爆テロ、“レギオン”の猛攻、大量発生する避難民。憶測と疑心が混乱を生むなか、一部の共和国民が連邦領内で武装蜂起を決行。前線で撤退支援に従事する機動打撃群も鎮圧に動員される。しかし、レーナがいまだ後方に留め置かれたままで、シンは心をかき乱すー一方、ユートはチトリら“仔鹿”を伴い、旧共和国領への『最後の旅』に出ていた。彼らの伝言を受け取ったダスティンは過去と現在の狭間に苦悩し、その様子にアンジュは自己を苛む。Ep.13『ディア・ハンター』“親愛なる彼に贈るその言葉は呪いか、それとも…。”
たとえ戦場であろうとも、彼らの青春は確かにそこに在ったー。絶死の戦場で、行き着いた安息の中で、再び舞い戻った戦場で、初めて足を踏み入れた雪の王国で。戦友と、兄弟と、恋人と、家族と。共にテーブルを囲み。盃を酌み交わし。時には、互いの誕生日を祝いながら。戦うことのみが日常と定められたシンやレーナたちに訪れる、平和なひととき。どうか明日も、こんな穏やかな時間が彼らに訪れますように。そう願わずにはいられない、ささやかな幸せを詰め込んだ、もう一つの『86』がここに。店舗特典SSやフェア限定SS、電撃文庫MAGAZINEなどに掲載された短編。さらには著者・安里アサト書き下ろし短編も多数収録!
多大な犠牲を払った共和国民の避難作戦。その敗走はシンたち機動打撃群に大きな影響を及ぼしていた。さらに連邦領内では戦況悪化の不満が噴出するなか、一部の離反部隊はついに禁断の一手に縋ろうとして…。
それはあまりにも突然だった。全てを無に帰する、咆哮、閃光、衝撃。滅びゆく共和国でシンとレーナたちを待ち受けていたのは、絶望的な撤退作戦。諸国を転戦し、帰る場所を知ったエイティシックスたちは暗闇の中で一歩ずつ進もうとする。しかし、彼らの前に立ちはだかる亡霊の群れ。洞のように空虚な銀色の双眸。変われぬ、変わらぬ彼らの姿。なぜ助ける。赦すな。鏖せ。復讐を。なぜ助けない。薄汚い色付きどもめ。憎悪と怨嗟の絶叫が響き渡る、Ep.11。“鋼鉄の軍靴は血塗られたマグノリアを踏みつけ、受難の火が彼らを焼く。”
共和国、存在しない「86区」。一人の年端も行かぬ少年兵が、その地獄の戦場に降り立った。彼の名はシンエイ・ノウゼン。エイティシックスたちの『死神』として、傷つき倒れた仲間たちの遺志を、行ける限り先へと連れていく使命を背負うことになる者ー。これは彼を『彼らの死神』へと変えた人々との出会いと、その絆を断ち切った残酷な、そしてあっけない死と破壊の物語の数々。Ep.10『フラグメンタル・ネオテニー』。血赤の瞳の奥に輝く、わずかに残った断片を追う。
犠牲はー大きかった。“電磁砲艦型”との戦いは、セオの負傷はもちろん、幾人もの仲間の命をその荒波で飲み込んだ。シャナ。シデンの隊「ブリジンガメン」副長だった彼女も、その一人であった。復讐を誓うシデン、そしてシン行方不明の報に動揺して狙撃できず、シャナ死亡の遠因となったクレナは、平静を失う。しかし、戦況は少年少女らを慮ることはない。“電磁砲艦型”の逃亡先ー現在交信可能な最後の国家・ノイリャナルセ聖教国。レギオンの脅威と戦う同胞でありながら、ヴィーカたち連合王国や、連邦上層部すら警戒する謎の国家に、シンたちは足を踏み入れる…!機動打撃群・派遣作戦最終盤のEp.9!“敵を撃てなければ、兵でいることはできない。”
“レギオン”完全停止の可能性。終わらぬはずの、戦争の終わり。それは人類の悲願。明日への希望。しかし、戦士たちはー戦いが終わった先、戦場で死ぬ定めだった「エイティシックス」は、どこへゆくのか。“シリン”との出会いで、死を恐れぬことの不気味を知った彼らは、閉じていた未来への眼を、無理矢理に開かされた。ある者は、愛する人を見つけた。ある者は、世界を見て夢を描いた。だが…、それが出来ぬ者は。温かい希望の光が、彼らの鉄の意志と結束を歪め、そして。ついに、過去最悪の犠牲を生む。平穏を許さぬ、新章開幕のEp.8!“辿り着いた海は、彼らに血を求めた。”
上位指揮官機“無慈悲な女王”。それは対レギオン戦争で守勢に立つ人類に与えられた“銀の弾丸”。『第86独立機動打撃群』の活躍で“彼女”の確保に成功した連邦・連合王国は、轡を並べる第三国「ヴァルト盟約同盟」にて、その解析と「尋問」を開始する。一方、大戦果を上げた者たちにも報奨が授与された。特別休暇。鉄と血にまみれた日々を、僅かひととき遙か遠くに置き、シンとレーナはじめ皆はそれぞれに羽を伸ばす。が、同時に“その二人以外のほぼ全員”はある思いを共にしていた。それは。“お前らいい加減、さっさとくっつけよ”もう一つの戦線がついに動く(!?)Ep.7!
誇り高く戦い、そして死ぬ。それが我らのさだめ。生への執着など、とうの昔に、はるか彼方に置いてきた。…そう思っていた。そう信じていた。だが戦場へ臨み、潰され、壊され、朽ちることを良しとする“シリン”達の姿は、「エイティシックス」である彼らの目指す生き方が、只の狂気であると蔑む。生きる意味とは何か。苦悩するシン。シンを理解しようと心を砕くレーナ。だがその想いは不格好にすれ違ったままー連合王国の命運をかけた「竜牙大山攻略作戦」の火蓋が、無情にも切って落とされる…!『連合王国編』完結のEp.6!戦わねば、生き残れない。だが戦えば生きられるわけでは、ない。
探しに来なさいー。シンが聴いた“レギオン”開発者・ゼレーネと思しき呼び声。レーナたち『第86機動打撃群』は、その姿…白い斥候型が目撃されたという「ロア=グレキア連合王国」へと向かう。…だが。それは生への侮辱か、死への冒涜か。「連合王国」で行われている対“レギオン”戦略は、あの“エイティシックス”たちですら戦慄を覚えるほどの、常軌を逸したものであった。極寒の森に潜む敵が。そして隣り合う「死、そのもの」が彼らを翻弄するー。“連合王国編”突入のシリーズ第5巻!雪山に潜む怪物たちが、彼らに、笑みとともに問いかける。
ついに運命の再会を果たしたシンとレーナ。どことなくいい雰囲気を醸し出す二人に、フレデリカとクレナは戦慄し、そして気を揉むライデンらの苦労は留まることを知らない。しかしそんな束の間の休息を破り、レーナを作戦司令とする新部隊に初任務が下った。共和国85区内北部、旧地下鉄ターミナル。地下深くに築かれたレギオンの拠点が、その口をあけて彼らを待つ。そこに見えるのは闇。レギオンの、共和国の、そして彼の国が虐げた者たちの、闇。シンとレーナー二人が出会った後、初めての共闘を描く『Ep.4』!“地の底からの呼び声が、彼らに新たな試練を告げる。”
敵“レギオン”の電磁加速砲による数百キロ彼方からの攻撃は、シンのいたギアーデ連邦軍の前線に壊滅的被害を与え、レーナが残るサンマグノリア共和国の最終防衛線を吹き飛ばした。進退極まったギアーデ連邦軍は、1つの結論を出す。それはシンたち「エイティシックス」の面々を“槍の穂先”として、電磁加速砲搭載型“レギオン”の懐にー敵陣のド真ん中に突撃させるという、もはや作戦とは言えぬ作戦だった。だがその渦中にあって、シンは深い苦しみの中にあった。「兄」を倒し、共和国からも解放されたはず。それなのに。待望のEp.3“ギアーデ連邦編”後編。なぜ戦う、“死神”は。何のために。誰のために。
共和国の指揮官・レーナとの非業の別れの後、隣国ギアーデ連邦へとたどり着いたシンたち“エイティシックス”の面々は保護され、一時の平穏を得る。だがー彼らは戦場に戻ることを選んだ。連邦軍に志願し、再び地獄の最前線へと立った彼らは、シンの“能力”によって予見された“レギオン”の大攻勢に向けて戦い続ける。そしてその傍らには、彼らよりさらに若い、年端もいかぬ少女であり、新たな仲間である「フレデリカ・ローゼンフォルト」の姿もあった。彼らはなぜ戦うのか。そして迫りくる“レギオン”の脅威を退ける術とはー?第23回電撃小説大賞“大賞”受賞作第2弾!シンとレーナの別れから、奇跡の邂逅へと至るまでの物語を描く“ギアーデ連邦編”前編!“死神は、居るべき場所へと呼ばれる”
サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器“レギオン”による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。そうー表向きは。本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。“存在しない“第86区””。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜“有人の無人機”として戦い続けていたー。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遙か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官”となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まるー!第23回電撃小説大賞“大賞”の栄冠に輝いた傑作、堂々発進!