著者 : LAM
“花咲く島国オズ”-その島では王家を名乗る“エメラルド家”と、それに反発する南部の貴族たちによって組織された“南部戦線”による激しい内戦が起きていた。銃器を求めてオズ島へと上陸したハルカリたち海賊団は“南部戦線”を指揮する魔女グリンダ・ポピーからの招待を受け、彼女と接触することになる。一方、ロロとテレサリサたちも“西の魔女”を仲間にするため、オズ島へとやって来ていた。エメラルド宮殿にて二代目オズ王と謁見を果たした一行だったが、“西の魔女”はすでに討伐され死亡しているという事実を聞かされる。
草木に覆われた、遠い未来の世界。そこでは植物が既存の生命も文明も全てを呑み込み、新しい生態系が生まれていた。なかでも「花人」はその最たるものである。花人はかつて存在した「人」に似た姿で「花」の特性を持った新しい生命で、旧文明の遺跡を発掘しながら独自のコミュニティを築いていた。そんな世界で目を覚ました少女・ハル。記憶を失った彼女はこの世界で唯一の人間として花人たちと交流を深めていくのだが、外の世界を知ろうとするハルと、花園を守る役目を負った花守のアルファは衝突してばかりで…。
貧しい村エイドルホルンで、魔女災害が発生。4年前にこの村で捕らえられ処刑された“お菓子の魔女”が復活したのだという。その真偽を調査すべく王国アメリアより4人の異端尋問官と、その冒険譚を記録するため宮廷詩人が派遣される。だが村ではすでに、魔女集めを行っているという“キャンパスフェローの猟犬”と、“鏡の魔女”と思しき人物の姿が目撃されていた。宮廷詩人のリオは見習い異端尋問官のエイミーと共に、村人たちの証言から独自に“お菓子の魔女”の真実に迫っていく。そして一行は、魔女が潜む森へと足を踏み入れるが…。
テレサリサとファンネルは、女騎士ヴィクトリアと共に船で大陸を南下していた。一行が向かうのは大陸最南端の“港町サウロ”。そこには、死にかけた男を蘇らせたという“海の魔女”の逸話があった。彼女なら瀕死の状態のまま凍結させたロロを復活させられるかもしれない。だが、“海の魔女”ブルハは、イナテラ海で名を馳せる海賊の一人だ。海を行き来する貿易商人や探検家たちにとって彼女はまさに海の厄災。話が通じるかどうかもわからない相手だった…。その頃、王国アメリアでは“鏡の魔女”たちの動向を受け、九使徒が行動を開始していた。
“鏡の魔女”テレサリサと共にレーヴェを脱出したロロは、魔力の影響で眠り続けるデリリウムを連れてキャンパスフェローへと帰還する。だが、王国アメリアによって陥落された故郷は、流血と破壊に蹂躙され見る影もなかった。城から逃げ延びた者たちと合流したロロは、彼らと“北の国”へ向かう。そこには、バドが生前に同盟を結んだ雪王ホーリオが治める集落がある。きっと助けになってくれるはずとの目算からだ。そして“北の国”には、バドに託された集めるべき魔女の情報の中にあった、氷の城に住むという“雪の魔女”がいた…。
魔術師たちを独占し超常の力をもって領土を拡大する王国アメリア。その脅威に曝された小国キャンパスフェローの領主バドは、前代未聞の奇策に出る。それは、大陸に散らばる凶悪な魔女たちを集めて対抗するというものだったー。機を同じくして、隣国レーヴェにて“鏡の魔女”が拘束されたとの報せが入る。バドは魔女の身柄を譲り受けるべく、従者を連れてレーヴェへと発つ。その中にロロはいた。通称“黒犬”と呼ばれる彼は、暗殺者として育てられた少年だった…。誰も見たことのない壮大で凶悪なダークファンタジーが幕を開ける。