著者 : ue
“最後の獣”が造り出した少年は、最期の選択を迫られる。今ここにある幸せを慈しみ、浮遊大陸群を滅ぼすかー多くを奪う邪悪として、自分自身が滅ぼされるか。偽りの楽園は罅割れ、幸福のかけらも削れ行き、少年は自身の存在する意味を覚る。「ぼくはちゃんと、あなたたちと戦います」聖剣モウルネンを差し向けるティアットに、示す答えは。そして、崩れ行く世界は、その跡に何を残すのか。明日を繋いだ妖精たちの第2部、終幕。
浮遊大陸群を救う、最後の戦いが始まった。“最後の獣”の内に広がるのは、在りし日の地上を模した風景。散り散りに降り立った先、目を覚ましたティアットの前にはエマと名乗る女性と、白いマントの少年が現れてー。あるいは豚面種から数多の人間を救い。あるいは竜種を葬りながら。この世界を壊すという役目に奔走する妖精兵たちを裂く、新たな選択肢とは。「もうすぐ、時がくる。君が征く道を、君が選ぶ時が」楽園の崩壊は近づく。
39番浮遊島の“最後の獣”を退け、浮遊大陸群の滅びに猶予を勝ち取ったあの日から、五年。「オルランドリ商会第四倉庫に、『鏃』の提供を要請する」未だ2番浮遊島に神々を囚える“最後の獣”を排除するほか、世界を守る術はなくー最後の決戦を前に、妖精兵たちはつかの間の日常を過ごす。「アルミタはさ、今でも、ティアット先輩みたいになりたい?」かつて憧れていた景色に手が届く今、幼き妖精兵に訪れる葛藤ーそして迫る決意のとき。
聖剣セニオリスの調整に訪れた幽霊船都市国バゼルフィドルで、正規勇者リーリァにできたはじめての友人・エマ。「正規勇者は、正義の味方じゃねぇ。あくまでも、人類の味方であって、人類の敵の敵だ」そんな守護者が、友人を奪われたとき。そしてその友人が、人類の敵になったとき。リーリァは必殺の聖剣を手に、何を想うのかー。いつかは滅びゆく大地で、いまを生きる勇者と人々の烈しくも可憐な日々、その第2幕。
リーリァ・アスプレイー極位の聖剣セニオリスに資格を認められた正規勇者の少女。「あんたって、やっぱりさ。生きるの、へたくそだよね」人類を守護するという使命を背負う彼女に並び立つことを諦めない兄弟子に、複雑な感情を抱きながら。怪物が蔓延る地上でリーリァが過ごすのは、烈しくも可憐な日々。アニメ化も果たした『終末なにしてますか?』シリーズから紡がれる、いつかは滅びゆく大地で、いまを生きる勇者と人々の物語。
一人の少年が作り上げた舞台で、一人の少女が英雄となった。“獣”に対抗できる黄金妖精の存在は明るみとなり、浮遊大陸群が小さな守護者に沸く一方、38番浮遊島に侵食の足音が迫る。「黄金妖精をしてくるよ。先輩たちには、ちと悪い気がするがね」パニバル・ノク・カテナは、“十一番目の獣”に呑まれた39番浮遊島に立つ。その力の限りを尽くして、“獣”との戦いへと臨むために。これは作られた英雄たちの、終わりに近づく物語。
フェオドールは鏡の向こう、笑みを浮かべる黒髪の青年に語りかける。君の力を、貸してくれないかー浮遊大陸群を墜とすために。絶望を鎖ぎ、希望を結ぶ遺跡兵装モウルネンを手に戦場に刻むのは、最後の嘘。「堕鬼種は悪だ。信じちゃいけない」マルゴ、ティアット、そしてラキシュー彼女たちの傍にいる資格なんてないけれど。これが、みんなが幸せになれる唯一の方法なんだ。コリナディルーチェの、長い夜が明ける。
遺跡兵装モウルネンの真実を知るべく、護翼軍司令本部に忍び込んだ元四位武官フェオドール。彼の前に立ちはだかったのは、かつての妖精兵ノフト・カロ・オラシオンだった。昏倒して目覚めない堕鬼種(インプ)を前に、自分の存在がある限り、彼は永遠に救われないのだと知るラキシュ。「わかってるんでしょう?あなたがそばにいるだけで、あの子は死に近づいていく」別れを告げた妖精兵の思考を埋めるのは数多の言葉の断片ーあの夜の記憶。
「フェオドール。わたし、やっと決めたよ。-きみの、邪魔をしてやる」妖精兵ティアットと堕鬼種の対峙は、ラキシュの振るう“聖剣”セニオリスの一撃で決された。手負いの堕鬼種が目指すのはーかつての戦場、コリナディルーチェ市。バロニ=マキシ一位憲兵武官の計らいで彼の地へ向かったティアットは、朱髪の先輩妖精兵らと邂逅を果たす。一方その頃、妖精倉庫の管理者喰人鬼もまた、旧き知人を訪ねてその地を訪れていた…。
春の陽だまりの中、幼い少女妖精・ラキシュは“聖剣”セニオリスを抱え夢想するー。それは500年前の出来事。正規勇者リーリァ14歳、準勇者ヴィレム15歳。人類を星神の脅威から救う兄妹弟子の日常は、なかなかにデタラメで色鮮やかで…。それは少しだけ前の出来事。死にゆく定めの成体妖精兵クトリと、第二位呪器技官ヴィレム。想い慕われる一分一秒は、忘れ得ぬ二人の夢となる。「終末なにしてますか〜?」第一部、外伝。
あれから10日が経った。妖精の存在と特性についてはまだ極秘事項のままで、“重<留まる十一番目の獣”を仕留めたのは、フェオドール四位武官が極秘で預かっていた、最新の試作爆弾であるとされた。常識を超えた強さで魔力を熾した黄金妖精ラキシュはいまだ目覚めず、リンゴはもういない。-フェオドールは結論した。きっともう始めてしまうべきなのだろう。世界に敵対する、最初で最後の戦いを。急転直下!新シリーズ第3弾。
“獣”の侵食により死にかけた都市ライエル。その外れの森で新たに発生した妖精の子供2人は、リンゴ、マシュマロと名づけられた。「ふぇどーるーっ!」「ふぇどるー」「まったく、どうして僕なんかに懐いてるんだか」ぼやくフェオドール四位武官に、ラキシュは悪戯っぽい笑顔を返す。彼女らと過ごす日々の中、フェオドールは自らの想いを告げることを決めるが、そこに“十一番目の獣”の『小瓶』が落とされる…。新シリーズ、第2弾。
ヴィレムは約束を守れず“月に嘆く最初の獣”の結界は崩壊した。正規勇者の命と引き替えに長い眠りについていた幼い星神は、その余波で空魚紅湖伯とはぐれ、記憶を封じられたびれむと共に仮初めの平穏な日々を過ごす。その日、“穿ち貫く二番目の獣”が浮遊大陸に降り注ぐことになるまではー。“獣”に対するのは、アイセアとラーントルク。死にゆく定めの少女妖精たちと青年教官の、終末最期の煌めき。次代に受け継ぐ第一部、幕。
“人間”は規格外の“獣”に蹂躙され滅びた。“獣”を倒しうるのは、“聖剣”を振るう黄金妖精のみ。戦いののち、“聖剣”は引き継がれるが、力を使い果たした妖精たちは死んでゆく。廃劇場の上で出会った、先輩に憧れ死を望む黄金妖精と、嘘つき堕鬼種の青年位官の、葛藤の上に成り立つ儚い日常。次代の黄金妖精たちによる、新シリーズ開幕!
妖精兵クトリ・ノタ・セニオリスは消滅し、ヴィレム・クメシュ二位技官は妖精兵ネフレンと共に闇に呑まれた。物語は、終わったはずだった。-しかし。ヴィレムは、見覚えのある部屋で目覚める。「…おとー、さん?」語りかけるのは、すでに亡き存在の娘アルマリア。そして、かつての仲間ナヴルテリが伝える真界再想聖歌隊の真実。それは時の彼方に過ぎ去ったはずの終末の光景ー。夜闇の中、新たな“獣”が咆哮を上げる。
おかえりの声を、聞きたかった。ただいまを、きちんと、言いたかった。バターケーキを、食べたかった。それらの願いは、すべて叶った。帰るべき場所へ帰り、逢いたかった人に逢えた。だから。約束は尽きて。追いついてきた終末は、背後から静かに、少女の肩に手をかける。青年教官と少女妖精の、儚く輝いた日々。第3幕。
妖精兵であるクトリたちが決戦に赴いてから半月。彼女たちはまだ、戻らない。次代を担う妖精兵である少女・ティアットを連れ、11番浮遊島へ適性検査に向かったヴィレムは、そこで「決戦敗北」の報を受けるが…。“人間”に代わり“獣”を倒し、死にゆく定めを負った少女妖精たちと、たったひとり生き延びた“人間”の青年教官の、儚くも輝ける日々。第2幕。
“人間”は規格外の“獣”に蹂躙され、滅びた。たったひとり、数百年の眠りから覚めた青年ヴィレムを除いて。“人間”に代わり“獣”を倒しうるのは、“聖剣”と、それを扱う妖精兵のみ。戦いののち、“聖剣”は再利用されるが、力を使い果たした妖精兵たちは死んでゆく。「せめて、消えたくないじゃない。誰かに覚えててほしいじゃない。つながっててほしいじゃない」死にゆく定めの少女妖精たちと青年教官の、儚くも輝ける日々。