制作・出演 : 森本薫
幕末の祇園を舞台にした京都異色篇。 美しい夢のような祇園夜話。 元治元年七月十七日、角行燈がぼんやり蒸暑い闇に浮かぶ宵。廓で生まれ舞妓から芸者になり、 今はお茶楼「まつ由」のお女将となった祇園の女・とみ(三條利喜江)は、二階から漏れ聞こえる田舎大尽の侘しい酒宴のさんざめきを聞きながら、次第に没落してゆく「まつ由」の姿を憂いている。 とみの娘・あきら(花井蘭子)は、長州の志士に思いをはせ、新時代の胎動に希望を感じていた。 砲撃の音が轟く中、はっきりしない嫌疑をかけられたとみが、新撰組に連行される。 遂に幕府と長州は一線を交えたのか、家財を捨てて逃げ出す人々で祇園の街は混乱していた。 あきらは「まつ由」の女たちを避難させるが、自分はここに留まり、とみの帰りを待つと言い出すのだった…。 ※蛤御門の変の一夜を舞台に、大きな時代の流れを女たちの視線で描いた異色の人間ドラマ。 〈1938年公開〉 <キャスト> 花井蘭子/三條利喜江/江島瑠実/堀越節子/水上怜子 <スタッフ> 原作:森本 薫/監督:石田民三/脚本:山本紫朗/音楽:伊藤宣二 ©1938 TOHO CO.,LTD. ※収録内容は変更となる場合がございます。
明治開化の大阪船場、淡雪も灯影にとけて むかしの恋に泣くお澪 多彩な時代色の中に一人のあでびとをめぐって綴られる 千歳華麗なリリシズム お澪(花井蘭子)は大阪、船場の回漕店兵庫屋の娘として何不自由なく暮らしていた。父親・治兵(進藤英太郎)は時代の波に乗って店の儲けを増やそうと躍起だ。 ある日、お澪と許婚の柵次(藤尾純)は困っていたお篠(山根寿子)を助け、その縁でお篠はお澪の許で暮らすようになった。 お篠は気立てのいい可憐さでお澪を姉と慕った。 お篠の父で零落した士族・宅間鉱平(高堂黒天)は、妻・おそよ(伊藤智子)と生活を手内職に求めて細々と暮らしている。 柵次はおそよがお澪の生母であることを知り、お澪と会わせるが、お澪はおそよに冷たい態度をとる。 そして血を分けた妹だと知ったお篠を家から追い出し、柵次に託すのだった…。 ※当時の大阪には明治の街並みが残されておらず、伊勢地方の桑名津、宇治、四日市、山田などロケーションを敢行。 船場の町はオープンセットに作られたもの。〈1939年公開〉 <キャスト> 花井蘭子/藤尾 純/進藤英太郎/高堂黒天/沢井三郎 <スタッフ> 原作:森本 薫/監督:石田民三/脚本:森本 薫 ©1939 TOHO CO.,LTD. ※収録内容は変更となる場合がございます。