制作・出演 : 六代目
落語名人寄席 ::壷算/天王寺詣り落語名人寄席 ::壷算/天王寺詣り
米朝の端正な藝とは好対照と語られがちだが、松鶴は豪快な藝風の裏に神経質なまでの細やかな目配りが感じられ、その片鱗を鶴瓶が受け継ぐ。文楽『寝床』は旦那の豹変ぶりなど人物描写の妙はさすが。可楽の渋い藝風は、これぞ江戸の粋。陰惨な内容の噺を「冷やでもいいから、もう一杯」でサゲるところに人間の業を語る落語の神髄が。春団治は昭和初期の音源だが、テンポのよさとアクの強いくすぐりに上方の笑いの源泉を感じる。歌笑は混沌とした終戦直後の奇妙な明るさを体現した藝で、あの時代の空気を伝える。
NHK落語名人選9 ◆死神 ◆一人酒盛NHK落語名人選9 ◆死神 ◆一人酒盛
姿も語り口も端正な人だったが、若い頃は噺の方もノッペリした感じだったろうな。年とともに味が出て、ついには“昭和の名人”と。「小言幸兵衛」「百川」といった馬鹿ばかしさを持った噺に、この人の面白さがある。名人が軽い噺を演じる粋な味がいい。