音楽むすび | 2020年2月7日発売

2020年2月7日発売

クアドラクアドラ

ブラジルの英雄セパルトゥラが3年ぶりに放つ15枚目のフルアルバム。 オールド・スラッシュ・フィーリングの復活、そしてトライバル・パーカッション、シンフォニック・アレンジメント。 彼らのキャリアを総括するプリミティヴさと洗練の奇跡的融合。 セパルトゥラに後退はない。 日本盤のみ、2018年5月の来日公演の模様を完全収録した2枚組フルライヴCD付特別仕様。 セパルトゥラほど様々なエクストリーム・メタルのサブジャンルに影響を与えたバンドはいないのではないか。 マックス、イゴールのカヴァレラ兄弟がセパルトゥラを結成したのが84年。同郷のオーヴァードーズとのスプリットLP『Bestial Devastation』(85年)、デビュー・アルバム『Morbid Visions』(86年)は、当時としては非常識なまでの速度で多くのスラッシュ・ファンの度肝を抜いただけでなく、後のブラック・メタル勢にも多大なる影響を与えたレジェンド作。 その後、現在バンドの主導権を握るアンドレアス・キッサーが加入し製作された『Schizophrenia』(87年)、『Beneath the Remain』(89年)、『Arise』(92年)はスラッシュ/デスの名盤として、今なお多くのファンに愛されている。 さらに93年の『Chaos A.D.』、ロス・ロビンソンをプロデューサーに迎えた96年の『Roots』では、いわゆるグルーヴ・メタルの礎を築いた彼ら。 90年代というヘヴィ・メタル暗黒期、セパルトゥラは時代に迎合するのではなく、自ら新時代を切り開いてみせたのだ。 『Roots』リリース後、マックスが脱退。後任として黒人ヴォーカリスト、デリック・グリーンが加入する。 新体制で製作された『Against』(98年)では『Roots』のワールド・ミュージック的要素を発展させつつも、ハードコア・パンク的感触を強化、新生セパルトゥラの誕生を強くファンに印象付けた。06年に今度はドラマーのイゴールが脱退。新ドラマーを迎え再びコンセプト・アルバムという形式をとった『A-LEX』(09年)をリリース後、ヨーロッパ最大手のNuclear Blast Recordsへと移籍。 13年の『The Mediator Between Head and Hands Must Be the Heart』は久々のロス・ロビンソン・プロデュース作品として話題になった。 16年には『マシーン・メサイア』をリリース。スラッシュからグルーヴ・メタル、ワールド・ミュージックと言った彼らお得意の要素に加え、シンフォニックなアレンジメントまでも導入、新たにプログレッシヴな一面を見せ、ファンを驚かせた。 前作から3年、この度リリースになるのが15枚目のスタジオ・アルバム、『クアドラ』だ。 「『Beneath the Remains』や『Arise』のような、オールド・スラッシュのフィーリングを復活させたい衝動に駆られた」というアンドレアス・キッサーの言葉に心を動かされないスラッシャーなどいないだろう。もちろんセパルトゥラのことだ。 単に過去を振り返るだけで終わるはずがない。トライバルなパーカッション、シンフォニック・アレンジメント、さらにはクワイヤやクリーン・ヴォーカルなどもふんだんに取り入れられている本作で、再びセパルトゥラは現在進行形のバンドであることを我々に印象づける。 ジョン・ノースの『Quadrivium』という本にインスパイアされたというそのテーマは、「4」という数字。 アルバムも4つのパートに分けられ、第1部からそれぞれピュア・スラッシュ、トライバル、実験的、メロディックという音楽的特徴を持つ構成になっている。 ダイナミックなデス/スラッシュ・パートとクワイヤやトライバル・パーカッションを違和感なく融合させるセパルトゥラ・マジック。 「オールド・セパルトゥラのエコーも聴こえるだろう。だけどこれは2020年のセパルトゥラという経験豊かで洗練された獣の姿だ」とアンドレアスが言うとおり、激しさと洗練が高次元で融合された本作は、オールド・ファン、最近のファンどちらも満足させる素晴らしい仕上がり。 前作に引き続き、イエンス・ボグレンがミックス、プロデュースを担当。全スラッシュ・メタル・ファン必聴。 【メンバー】 アンドレアス・キッサー(ギター) デリック・グリーン(ヴォーカル) エロイ・カサグランデ(ドラムス) パウロ Jr.(ベース)

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