著者 : エルモア・レナード
アリゾナの荒野を行く七人を乗せた駅馬車ー御者メンデスとその部下アレン、十七歳の娘マクラレン、インディアン管理官フェイヴァー夫妻、無頼漢のブレイデン、そして「男」の異名を持つジョン・ラッセル。浅黒い顔に淡いブルーの瞳、幼少期をアパッチに育てられた伝説の男と悪党たちが灼熱の荒野で息詰まる死闘を繰り広げる。レナードの初期傑作二作品を、村上春樹が痛快無比に翻訳!
「その映画スターは彼が生まれて初めて恋した相手だった。十二歳のときに」シークレット・サーヴィスの元特別捜査官で今は写真家のジョー・ラブラバは、かつての有名女優ジーン・ショーと出会った。憧れの女を目の前にして、彼の心は浮き立った。徐々に近づいていくふたりだが、ジーンの周りには財産狙いの悪党どもがたむろする。ラブラバは女の窮地を救うべく動き出すのだが…。陽光溢れるマイアミのサウスビーチを舞台に、巨匠が描き上げる男と女の影。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。待望の新訳版!
アル中更生施設で働く青年ジューヴェナルは、触れるだけであらゆる病を癒す“奇蹟”の力の持ち主だった。その力を当て込み、ひと儲けをたくらむ元宗教家が、若い女性リンを手先として更生施設に送り込んできた。ところが、リンは天真爛漫なジューヴェナルにこれまでの男性にない魅力を感じ、たちまち恋におちてしまう。策謀にからめ取られていく二人の恋の行方は?犯罪小説の巨匠レナードが新境地を拓いた傑作恋愛小説。
男は人を殺してみたくてしようがなかった。金なら腐るほどあるし、容姿は映画スターなみ。地位や名声にも恵まれている。それでも男は歪んだ欲望に衝き動かされ、一人の悪徳刑事を抱きこんである殺人計画を実行に移そうとしていた。そんな彼らに、いま一人の刑事が疑惑の目を向けたとき…。ひねりの効いたウィット、そして絶妙な人間描写。まさにレナードの真骨頂を示す名品。
マイアミビーチには、不思議な連中が集まってくる。-元シークレットサービスの捜査官で現在は写真家のジョー・ラブラバは、一人の女性と知り合った。彼女の名はジーン・ショー、かつて少年の頃のラブラバが夢中になった銀幕のスターだ。だが、彼女の周囲には奇妙な男たちが出没する。沼沢地帯から来た大男のならず者、キューバの刑務所を脱出してきた殺人犯。-やがて、一枚の脅迫状が届き、男と女と悪党が織りなす、金と欲望の犯罪ドラマがスタートした!ベストセラー作家レナードの代表的傑作。アメリカ探偵作家クラブ最優秀長篇賞受賞。
引退したギャングのボス、フランク・ディシリアが死んだ。未亡人カレンには、400万ドルとフロリダの豪邸が遺された。ただし、条件があった。フランクは、カレンが浮気しないよう遺産管理者に命じて、彼女に近づく男たちを脅迫するようにしたのだ。そこへ2人の男があらわれた。用心棒ローランドと流れ者のマグワイア。400万ドルとカレンの魅力に目がくらんだ男たちが火花を散らす、これこそまさしくレナードの真髄、人間味あふれる悪党たちの物語だ。