著者 : メアリ・ヒギンズ・クラーク
少壮の実業家ニックが姿を消した。夢の抗癌ワクチン開発成功かと報道された直後だった。墜落した専用機の残骸が見つかるが遺体は発見されず、ワクチンの実態も不明のまま、社は存亡の危機を迎える。事件に巻き込まれた女性経済コラムニストのカーリーは、調査を始めた。ニックは本当に死んだのか?彼は癌患者を救う救世主なのか、それとも公金横領を企む詐欺師だったのか。
クラスの人気者アンドリアが無惨な死を遂げて以来、7歳だったエリーは、姉との秘密を誰にも明かさなかったことを悔やみ続けてきた。犯罪調査記者となった今もー。憎むべき男は姉の命だけでなく、父も母も彼女から奪った。二人は痛手から立ち直れなかったのだ。魔物は近く仮釈放される。エリーは独自に再調査を進め、葬られた真実をネット公開し始める…。
7年前の12月、ソンドラは生んだばかりの娘を教会に置去りにした。子は偶然この教会に忍び込んだ泥棒に、ベビーカーごと連れ出された。成功目前の新進ヴァイオリニストとしてNYに戻ったソンドラは、自責の念と娘に会いたい一心で、リハーサルにも身が入らない。-富くじで四千万ドルを当てた強運のアルヴァイラ夫婦が大活躍する、ハートウォーミングなクリスマス・サスペンス。
あの顔は、殺人事件の被害者にそっくり…。検事補のケリーは、交通事故にあった娘を連れていった診療所の待合室で、信じられない光景を目にした。診察室から出てきた女性が、十年前に関わった事件の被害者そっくりだったのだ。そして翌週にもまた別のそっくりさんが…。美貌に憧れる女心と、愛する人を永遠に手許に置こうとする異常な執着心が生んだ、ダークな味付けのサスペンス。
幼い息子を踏切事故で亡くしたメンリーは、娘ハナに恵まれた今も罪悪感に苛まれ続けている。童話作家である彼女は、療養と執筆を兼ねて、夫の生まれたケープ・コッドの由緒ある家で夏休みを過ごすことにした。夫の留守中、彼女は列車の轟音や、亡くなったはずの息子の声を聞く。これは現実なのか、悪夢なのか。しだいに自制心を失っていくメンリー…。息もつまる迫真のサスペンス。
TV局記者のメガンは、取材先の病院で自分そっくりな女性と遭遇した。通り魔の被害者で間もなく死亡したが、その夜メガンは「あれは間違いだった」という不気味なファックスを受け取る…。体外受精で実績を誇るこの病院では不祥事が続き、胎芽を扱う医師の身分詐称も判明した。彼女の身元保証は、メガンの父の会社が行なっており、父は帰宅途中の事故で、行方不明のままだー。
七歳のぼくは、病気のパパのお見舞いにNYに来た。でもママが、おばあちゃんにもらったメダルをお財布ごと落しちゃったんだ。ぼくはそれを拾った女の人を必死に追いかけた。パパを救ってくれる大事なお守りだもの。ところがその人の家には、脱獄犯の弟がお金をせびろうと待ち構えていた。そしてぼくを人質にして逃亡しようとした…。感動とサスペンス溢れるクリスマスの追跡劇。
女子大生ローリーは教授殺しで逮捕された。凶器からは彼女の指紋が検出されたが、彼女には何の記憶もない。幼い時、誘拐され、虐待され、深く傷ついた彼女の心は、あまりに辛い現実を生き延びるために多重人格を形成していた。犯人は教授に夢中な彼女の別人格なのか。法は彼女を裁くことができるか。そしていまだに彼女に執拗な愛を抱く誘拐犯人の魔手…心理サスペンスの逸品。
右足にダンスシューズ、左足はブーツという奇妙な死体が発見された。15年前にも同様の事件があり、犯人は捕まっていない。一方、TVプロデューサーのノーナは、デート相手を募集する個人広告の実態を探る番組を企画し、親友2人を実験に誘っていた。彼女たちは様々な相手と時を過し、結果を報告しあうが、宝飾デザイナーのエリンがあるデートのあと姿を消してしまう…。
ジュディスは著名な歴史小説家。美貌に恵まれ、次期英首相候補の婚約者でもある。王政復古を題材にした新作の取材で、ロンドンに滞在中だ。実は彼女には、もつ一つ、自分の出生を確かめるという目的があった。精神科医パテール博士が投与した薬によって、幼時に戻ることに成功した彼女の心は、さらにさらに時を遡って…。著者には珍しい人格転移を扱った表題作ほか、4編を収録。
エリザベスは、テッドの喚き声が忘れられなかった。成功疑いなしの舞台初日前夜、大女優の姉はなぜか追いつめられ、深酔いし、テッドとの婚約を解消しようとした。そして翌朝、彼女の死体がテラス下の中庭にー。エリザベスは検察側証人として、その夜の記憶を失ったテッドと対決することになった。犯人は憎い、でもテッドは好き…。サスペンスの女王が描く華麗で怖ろしい世界。
雪のニューヨーク、衝撃的な記事を書くことで著名な、女性ライターが姿を消した。ブティックを経営するニーヴは、その作家のコートがすべて残されていることからこの失踪に不審を抱き、元市警本部長の父に相談する。一方、彼に逮捕されたマフィアのボスが、復讐のため、ニーヴに対する殺人指令を出したらしい…。米ファッション業界が抱える様々な問題を扱ったサスペンス長編。
演劇評価家ジャドスンは、50年前に一度命を狙われたことがあった。今、深夜に一人で原稿を書いている彼を、老練な俳優スピヴィーが訪ねてきた。そして、かつての狙撃未遂事件の犯人は自分だ、演技を酷評された恨みからやったのだと、冷たい声で告げたのだ、ジャドスンは震えあがった。スピヴィーは、今になって50年も前の恨みをはらそうというのか?それとも他に目的が?…一つの劇評が招いた悲喜劇を描く、上記「イーストポートでの再演」をはじめ、映画、奇術、音楽などエンターテインメントの世界に材をとった、人目をあざむく15の犯罪。
“あの家に来るな”パットは脅迫されていた。“あの家”とは、今は亡き父母と幼い彼女自身が、大きな不幸に見舞われた家だ。しかしパットはその家に戻ってきた。アメリカ初の女性副大統領指名を目指す、野心家上院議員アビーのテレビ番組を作るために。そして、惨劇のかすかな記憶をよみがえらせて、本当の過去を知るために。その夜、また新たな脅迫状が…。息詰るサスペンス長編。