著者 : リン・グレアム
受付係のスージーは会社の新オーナーでギリシア富豪のレオスの到着に怯えていた。以前、彼の下で働いたとき、二人は恋仲になったーつかのまで終わった恋だった。9カ月後、スージーは彼の子を密かに産んだ。妊娠を利用する女を忌み嫌うレオスには言えなかったから。だが今、リムジンを降りた彼の目がスージーをとらえ…(『魅せられた富豪』)。仕事でギリシアの島を訪れたエンジェルは、島の所有者に出迎えられ、凍りついた。アレックス!6年前、初めて恋をし純潔を捧げた翌朝、手酷く私を捨てた億万長者。目が合った瞬間、エンジェルにはわかった。アレックスは自分を覚えていると。でも、彼は知らないーあの夜宿した彼の子を、私が産み育てていることは…(『億万長者の残酷な嘘』)。親友を亡くした痛みに耐えかね、ホテルで睡眠薬をのみ眠りについたダイアナ。気づくと見知らぬセクシーな男性に見つめられていたが、悲しみをひととき忘れたくて情熱に身をゆだねてしまった。やがて、彼女は予期せぬ命を授かる。仕事を辞め、田舎町でひっそりと暮らし始めた矢先、実は富豪だったあの夜の男性が訪ねてきた!(『刻まれた記憶』)。大スター作家が贈るシークレットベビー・ロマンス。
従姉の追悼式が行われている教会で、マリベルは世界有数のギリシア富豪レオニダス・パリスと再会した。2年前、ひそかに恋い焦がれていた亡き従姉の恋人だった彼と、あふれる想いを抑えきれず、熱い夜を過ごした。けれどその後、彼からの連絡はなかった…。よみがえる苦い記憶を必死で振り払い、マリベルはレオニダスと言葉を交わすことなく教会をあとにした。しかし、彼は不意に家を訪ねてきて、さりげなく問いかけたのだ。「きみには赤ん坊がいるんだね」マリベルが恐れていた瞬間だった。彼に息子を奪われたらどうしようー新聞報道で乱された平穏な日々を取り戻すため、ヒロインは形だけの結婚を承諾せざるをえず…。予測不能なシークレットベビー物語。
亡き姉の幼子2人を引き取ったフレディ。大学を辞め、ホテルのバーでウェイトレスとして働いているが、まだ若く貧しいゆえに正式な養母にはなれずにいた。そんなとき、常連の滞在客から契約結婚を持ちかけられて驚く。ダイヤモンド鉱山を持つ大富豪ザック・ダ・ローシャは、莫大な遺産を継承させる後継ぎのみが必要で愛はいっさい不要、子供さえ産んでくれれば、幼子たちも養子に迎えるという。愛のない夫に純潔を捧げるの?でも、愛する家族は守りたい。悩んだ末にフレディは心を決めた。偽物のシンデレラになると。ハーレクイン・ロマンス3400記念号は、極上のシンデレラロマンス!いとしい姪と甥を守り抜くためならどんな苦しみも厭わないー無垢で芯のあるヒロインに共感せずにはいられない、心揺さぶる珠玉作。
部屋の片隅で、リジーは客たちの陰湿な陰口を聞いていた。私が恋人を死なせたというでたらめを、彼らは信じているのだ。そんな彼女を遠くから、熱く見つめるひとりの男性がいる。男の色香を滲ませる、ギリシアの大物実業家、セバステンだ。乞われるままにダンスを踊り、唇を甘く貪られると、孤独に耐えかねていたリジーは、彼の屋敷への誘いを受けた。しかし翌朝、あまりに無情な事実を知らされて、唇まで青ざめた。生まれて初めてベッドを共にしたのは、死んだあの人の兄だった。近づいたのは彼女を身ごもらせ、ぼろ屑のように捨てるためー
「あなたの身代わりとなって、見知らぬ人と結婚しろというの?」双子の妹からの頼みに、アリッサは仰天した。相手は石油富豪、セルゲイ・アントーノヴィッチ。彼が期間限定の花嫁を求めていると知った妹は、高学歴の姉の名をかたって応募したところ、首尾よく面接を通り、すでに多額の契約金も受け取ったらしい。だが、妊娠中だから、アリッサに代役を頼みたいというのだ。「これで、お母さんは家や店を手放さなくてすむわ」母を助けるため、契約金にもう手をつけたと聞き、アリッサは観念した。その契約には“子をもうける”という条項があるとも知らずに…。
運命の巡り合わせが、封じこめていた恋心を揺さぶり起こす…。静かに切なく燃え上がる、秘めやかなクリスマス傑作選。男性経験のほとんどない、奥手のアンバーは大富豪ロッコと身分違いの恋に落ちた。だが二人の関係をゴシップ紙に売ったと誤解したロッコに、アンバーは捨てられたのだ。せめて彼の子を妊娠していることだけでも伝えなければ。その一心で電話をするも、返ってきたのは心ない言葉。“ストーカーみたいなまねはやめてくれ”アンバーは幼な子を連れて奈落の底に沈んだ…。1年半後、それまでの職を失い、庭師として働く彼女は偶然出逢うー相変わらず先練されて、非のうちどころのないロッコに。L・グレアムらが競演する愛の短編集。
病身の母との生活を支えるため、仕事を掛け持ちし、働きづめの毎日を送っているジャズ。思い余って母の元雇い主に窮状を訴える手紙を送ったところ屋敷に呼ばれるが、現れたのはその息子、レロヴィア国の皇太子ヴィターレだった。ああ、かつての想い人とまさかこんな形で再会するなんて…。ヴィターレは、弟との賭に協力し、しばらく宮殿に住みこむなら援助をしようと約束した。だが7週間後、事態は急変する。ジャズが妊娠したのだーたび重なる彼の誘惑の罠に落ちて。「婚外子では世継ぎにできない。入籍する」冷淡な一言が飛んだ。
うら若きソフィーは、清掃や内職をしながら身を粉にして働き、亡き姉が遺した幼い娘を育てていた。ある日、姉の亡夫の兄、アントニオ・ロチャ侯爵が訪ねてくる。姉の遺児ー自分の姪の存在を知り、一族に迎えたいというのだ。帝王のように傲慢な侯爵とは、姉の結婚式で出会ったきりだ。引け目を感じる16歳のソフィーを一方的に誘惑したのに、ふしだらな女と罵って、突然ごみのように捨てた。それなのにいま、苦々しげな顔で、彼女に結婚を申し出たのだ。ただし夫の浮気に口出ししないという、屈辱的な条件で。
メリーは女手一つで生後6カ月の娘を育てている。娘の父親はかつての雇い主、巨大複合企業を率いるアンゲルだ。妊娠を伝えたとき、彼はすべての処理を弁護士にまかせた。そんな冷酷さに耐えられず、それ以来一切の連絡を絶っている。そのアンゲルが娘との面会を求めていきなり訪ねてきた。家族第一主義の父親にたきつけられ、やむなく来たらしい。ところが娘を一目見た彼はたちまち夢中になり、結婚を申しこむ。断れば法廷で親権を争うと半ば脅して。メリーは激しく煩悶した。娘には父親が必要よ。でも妻への愛がないと知りつつ結婚できる?
ブルーデンスが憧れのニコロスと結婚して、8年の月日が流れた。今でこそ彼は大企業の最高責任者として辣腕をふるう身だが、傾きかけた父親の会社を救うため、彼女と結婚しただけなのだ。しかも結婚式では酒をあおり、初夜の契りを頑なに拒絶したー思い出すだけで、胸を焼くような悲しみがこみ上げてくる。夫への未練を断ち切るため、ついに彼女は離婚を切り出していた。ところが予想外にもニコロスは、この結婚を本物にしたいと、君が望むなら、肉体関係を結んでもいいと言い出したのだ。彼の真意がつかめず、ブルーデンスの心は締めつけられるが…。
祖父の介護費用を稼ぐため、モリーはウエイトレスとして働く傍ら、ジャーリア国の大使館で王子に英語を教えていた。ある日、モリーは砂漠に囲まれた見知らぬ城で目覚める。大使館で薬物の入ったコーヒーを飲まされ、眠っている間に王子に誘拐されてしまったのだ。なんて野蛮なことをするの!ところがモリーの前に現れたのは、王子の兄の国王アズラエル。国の名誉のため、大金と引き替えに弟の犯罪を見逃せという。しかも彼女が拒絶すると幽閉されてしまった。私はどうなるの?怯えたモリーは隙を突いて逃げだすが、砂嵐に襲われて…。
3年前、父が作った多額の借金を肩代わりしてもらう見返りに、マクシーはやむなく祖父ほども年の離れた富豪の愛人となった。実は見せかけだけなのに、周囲からは白い目で見られる日々…。老富豪が病に倒れた今、妻に返済を求められたマクシーに、彼らの甥であるアンゲロスから悪魔のささやきがもたらされる。代理返済しておいたと告げ、欲望の瞳で代償を求めてきたのだ!金のために身を売る女と蔑まれた屈辱に震えながら、夫となる人にしか身は捧げないとマクシーが断ると、彼は言った。「結婚しよう。但し、公の場で妻と認めることはできないが」
両親に見捨てられ、世間から隔絶した修道院で育ったティアは、全く面識のないイギリスの祖父から突然の連絡を受けて戸惑った。病身で余命わずかとなった今、ぜひとも面会したいというのだ。ほどなく代理として、祖父の後継者だと名乗る実業家マックスがティアを迎えにやってきたが、彼女はひと目で心を奪われた。これほどゴージャスで美しい男性が外の世界には存在するの?しかも彼は、ティアの抱えている不安に耳を傾けてもくれた。無垢な彼女は想像さえしなかったーまさか彼の真の目的が、愛なきまま彼女を娶り、世継ぎをもうけることだけだとは。
ロエルが交通事故に遭って、私に会いたがっている…?そう告げられて、ヒラリーは戸惑いを隠せなかった。ある事情から、大富豪ロエルと入籍はしたものの、4年前から一度も会っていない。私は誰も知らない妻なのだ。ヒラリーが病室に駆けつけると、ロエルは記憶を失っていた。当然のように私を妻だと思い込みー夜には求めてくるだろう。ロエルは知る由もなかったが、ヒラリーは彼を愛していた。だから、罪の意識にかられながらも言い出しかねていた。自分が男性経験すらない、みせかけの妻だということを。
幼くして母と別れたルーシーは、一人で苦労しつつ育った。今はウエイトレスをしているけれど、稼げるお金はわずかだ。その日、彼女が緊張しながらコーヒーを運んだのは、かつての恋人、ギリシアでも有数の大富豪イアスだった。だが彼の目は、ルーシーへの怒りと軽蔑で燃えていた。ひょっとして…イアスは真実を知ったのだろうか?2年前、彼に捨てられたあと妊娠に気づき、一人出産したことを。悲しい衝撃とともに、ルーシーは悟った。つまり今後、私はイアスから逃げられないのだ。娘を取りあげられたくなければ。
これは運命?それとも、なにかのたくらみ?フィレンツェの大富豪リオとの再会に、エリーは我が目を疑った。地味でなんのおもしろみもない私に、彼はわざわざ会いに来たの?そう思うと、エリーは惹かれる気持ちをとめられなかった。だから、思いきって大切にしてきたバージンを捧げた。しかし無垢だと知ったリオは激高し、彼女は衝撃を受ける。災難にでもあったような口調で、彼はエリーをさらに追いつめた。“金めあての女でも、妊娠しているかもしれないから結婚はする。だが、赤ん坊ができていなければ離婚だ”と言って…。
両親のいないピクシーは、弟が作った借金に苦しめられていた。車を売り、安フラットに越し、生活費を切りつめに切りつめても利子を払うのがやっとで、返済の終わりは見えない。そんなとき、ピクシーの前に突然現れたのがアポロだった。女性関係が2週間続かないことで有名なギリシア人の億万長者は、遺言によって、結婚し子供をつくる必要があるという。彼は傲慢にも、ピクシーにこう言い放った。「借金があり、弟のために苦労する君は、金で買える理想的な妻になれる」と。彼女に選択肢はなかった。今までに一度も男性経験がなくても。
吹雪のクリスマスイブの夜、ホリーは車が故障して困っていた。けれど、近くの別荘に滞在するヴィトという男性のおかげで、一晩だけ泊めてもらえることになった。イタリア人のヴィトは大変なお金持ちらしく、貧しい自分とはなんの共通点もないのに、彼女は最初から彼に惹かれた。だから、ずっと守ってきたバージンも捧げたのかもしれない。家に帰って妊娠がわかっても、ホリーは運命の恋を疑わなかった。だが知らせたいヴィトは見つからず、遊ばれたと思い知る。悲しみの涙にくれながら、ホリーは孤独の中で出産するのだった。
ポリーは実の父をさがして、ダーリアを訪れていた。しかし突然、空港で身柄を拘束され、王宮へ連行される。そこに現れた、民から英雄とあがめられる国王ラシャドは、おごそかな声でポリーに妻になるよう命じた。その言葉を受け入れたのはラシャドの鷹のような目と威厳に、恐怖とは違う胸の高鳴りを覚えたからだ…愛の芽生えを。ポリーは気づいてもいなかった。非情なラシャドは国に平和をもたらすため、彼女を利用するつもりでいたのだ。亡き王妃の代わりに、子供を産んでもらうことで。