著者 : ロバート・B.パーカー
ボストン郊外のハイスクールでスキーマスクをした二人組による銃乱射事件が発生、生徒の少年二人が逮捕された。容疑者の一人、ジェレドの祖母がスペンサーを訪れ、孫の濡れ衣を晴らしてほしいと言う。スペンサーは調査を始めるが、警察をはじめ関係者は皆、事件に早く幕を引きたがっている様子だ。背後にはいったい何が隠されているのか?スーザンもホークも不在のなか、孤高の騎士スペンサーが少年の心の奥に潜む真実を探る。
背中から銃撃され、ホークが瀕死の重傷を負った。彼が護衛していた賭け屋一家も殺され、ホークは静かに復讐を誓う。しかし事件の背後には、襲撃の実行犯であるウクライナ・ギャングだけでなく、旧知のギャング、トニイ・マーカスをはじめ、様々な人物の思惑が絡み合っていた…スペンサーの協力のもと、ホークは真相を追い、復讐計画を練り上げていく。砕かれた誇りを取り戻す、ホークがホークであるための闘いが始まる。
その依頼人の何かが、スペンサーのどこかに触れたのか。妻の不倫を疑い、素行調査を依頼してきた男に、かつてスーザンとの別れに苦悩した自らの日々を重ねたスペンサーは、日頃はさほど力を入れない浮気調査に力を注ぐ。ホークの手まで借りた調査の結果、大学教授をつとめる妻は、やはり同僚と浮気をしていたことが判明する。だが、動かぬ証拠をつかもうと盗聴器まで使ったスペンサーの調査は、意外な事実を掘り当ててしまった。浮気相手の教授に、ただならぬ背景があるようなのだ。そのことは伏せ、調査結果のみを夫に伝えはしたが…やがて、当の妻が射殺される事件が起き、夫も行方不明となってしまう。思わぬ展開に、警戒を強めるスペンサーは、助っ人のガンマンたちを呼び集める!過去の自分と向かい合うスペンサーの苦悩をも描いた、渾身の傑作。
夫の不貞の決定的証拠を掴んでほしい。依頼人の女性マーリーンはスペンサーにこう懇願した。彼女の夫トレントンは世界的大企業の最高財務責任者だという。調べを進めるうちに明らかとなる、奇妙な男女関係。やがてトレントンが会社で死体となって発見され、さらに同社の警備部長まで不審な死を遂げてしまう。事件を追うスペンサーは、巨大企業の暗部に足を踏み入れることに…。スペンサーが専門外の事件に挑む異色作。
血を流して横たわる被害者。何者かに頭を撃ちぬかれたのだ。そのかたわらには三枚のコインが…二十年前にボストンを震撼させた連続殺人鬼が犯行を再開した。かつて捜査を担当したサニーの父、フィル・ランドル元警部のもとにも、犯人からと思われる人を食ったような手紙が届く。闇に消えた殺人鬼が舞い戻ったのか?父に協力するサニーは、一人の男に焦点を絞り、危険な賭けに挑む。息づまる対決を描くシリーズ最新作。
私立探偵のサニーに新たな仕事が舞いこんだ。依頼人は、ボストン近郊の島に住む映画プロデューサー。大リーグの球団を持つ彼は、女優のエリンを選手にして話題にしようとしていた。だが女性の大リーグ入りには反発もあるので彼女の護衛を頼むというのだ。サニーは引き受けるが、やがてエリンの付き人が殺された。彼女は警察署長ジェッシイ・ストーンと犯人を追う。ジェッシイとの夢の競演で描く注目作。文庫オリジナル。
それは、かすかに油の浮いた暗い水の中を、割れた蟹の甲羅や、死んだ魚や、発泡スチロールの破片に混ざって、静かに岸壁に向かって漂ってきた。小さな波にも簡単に浮き上がるそれに、カモメが興味を示し、下には小魚の群れがゆらめいている。「女のようだ。ドレスを着ている」事故か?殺人か?ヨットレースの開催に沸くパラダイスの港に漂着した女性の溺死体は、ジェッシイに大きな謎を投げかけた。レースの参加艇ばかりでなく見物や社交のために、他の州からのヨットや客が、港にはひしめいている。はたして彼女は、どこから来て、どの艇に乗っていたのか…やがて身元は判明した。彼女の名前はフローレンス、住所は遠くフロリダ州のフォート・ローダーデール。彼女と関わりのありそうなヨットのオーナーたちを探るジェッシイだが、捜査は難航する。フォート・ローダーデールの女性刑事から耳寄りな情報が入るまでは…警察署長ジェッシイ・ストーンが暴く、事件の歪んだ背景と、意外な真相。ますます好調の巨匠パーカーが贈るシリーズ最新作。
ボストン郊外の私立ハイスクール、ダウリング校で発生した乱射事件。スキーマスクで顔を隠し、二挺ずつの拳銃を持った二人の少年は七人の教師や生徒を射殺し、人質をとって図書室にたてこもった。警察の包囲と説得の末、六時間後にそのうちの一人で生徒のグラントが投降。いつのまにか姿を消していたもう一人、同校生徒のジェレド・クラークも、すぐにグラントの自供により逮捕された。そのジェレドの祖母がスペンサーを訪ねてきた。孫の容疑を濡れ衣と主張する彼女はスペンサーに、事件を調査し、ジェレドの無実を証明してくれと依頼する。現場を訪れ、地元警察と接触し、弁護士と話すうち、スペンサーの嗅覚が小さな疑問を嗅ぎあてた。少年たちの動機や凶器の拳銃の入手経路を誰も追及していないのだ。それどころか、警察も弁護士も少年たちの両親さえも、さっさと事件に幕を引きたがっている。事件の背後に何かが隠されているのか?追及をはじめたスペンサーの前に、まずは地元警察が立ちはだかり、さらには…スーザンもホークも不在のなか、単独で事件に挑む孤高の騎士スペンサー。ますます好調のシリーズ最新作。
ホークが撃たれた。大口径ライフルの銃弾三発を背中に受け、瀕死の重傷を負ったのだ。集中治療室で厳重看護という状態に陥りながらも、人並みはずれた頑健さと、常人では及びもつかぬリハビリをこなしてホークは快復した。だが、ホークに護衛を依頼した賭け屋とその家族は、託児所にいた幼子一人をのぞいて全員が殺されてしまっていた。彼は、職業上の誇りと個人的なプライドを取り戻さなくてはならなかった。ホークを襲撃したのは、ウクライナ・ギャング。彼らが何のために?スペンサーはホークとともにその謎を追う。やがて、ボストンの黒人裏社会を牛耳るトニイ・マーカスの存在が浮かび上がり、麻薬密売がからんでいることが明らかになってゆく。ホークは、ボストンに近接するウクライナ移民が作った市の市長でもあるウクライナ・ギャングのボスとの対決を決意する。瀕死の重傷を負いながらも、「ほかの男たちと同じであってはならない」と絶大な自信をもって語るホーク。誇りを取りもどすために闘う彼の強烈な個性が炸裂する。
『長いお別れ』で出会った富豪の娘リンダ・ローリングと結婚し、プードル・スプリングスの豪邸に住むことになったフィリップ・マーロウ。だが、妻の金で暮らすことを潔しとしないマーロウは、町はずれに探偵事務所を開いた。最初の依頼人は、借金を返さない男を捜してほしいというカジノ経営者だったが、一見単純な依頼はやがて殺人事件へと発展する。巨匠の未完の遺作をパーカーが完成させた、話題のハードボイルド長篇。
上院に打ってでようというアリグザンダー下院議員の警護を引き受けたスペンサーは、彼から驚くべき事実を打ち明けられた。何者かが妻のあられもない姿が映っているビデオを送りつけてきたというのだ。政敵の無言の脅迫か?打ちひしがれる議員を救うべくスペンサーは調査を開始した。スーザン不在のなか、ホークの友情、たくましく成長したポールに支えられ、スペンサーが政界を覆う黒い霧に挑む、好調シリーズ第10弾。
スーザンがカウンセリング指導をしている少女エイプリルが姿を消した。もともと悪い噂が絶えず、売春組織に関わっていた可能性もある。母親に懇願されたスペンサーは、たった1ドルの報酬で娘を連れ戻すことを請け負い、ホークとともに背徳うずまく歓楽街に潜入した。ところが何者かが圧力をかけているらしく、関係者は固く口を閉ざし関わり合いになろうとしない。やがて、複雑な糸を手繰り寄せ、ようやくエイプリルの居所をつきとめたスペンサーの前に、狡猾な売春組織がたちはだかった。揺れ動く少女の性に鋭くメスを入れたシリーズ問題作。