小説むすび | 著者 : ロバート・B.パーカー

著者 : ロバート・B.パーカー

訣別の海訣別の海

それは、かすかに油の浮いた暗い水の中を、割れた蟹の甲羅や、死んだ魚や、発泡スチロールの破片に混ざって、静かに岸壁に向かって漂ってきた。小さな波にも簡単に浮き上がるそれに、カモメが興味を示し、下には小魚の群れがゆらめいている。「女のようだ。ドレスを着ている」事故か?殺人か?ヨットレースの開催に沸くパラダイスの港に漂着した女性の溺死体は、ジェッシイに大きな謎を投げかけた。レースの参加艇ばかりでなく見物や社交のために、他の州からのヨットや客が、港にはひしめいている。はたして彼女は、どこから来て、どの艇に乗っていたのか…やがて身元は判明した。彼女の名前はフローレンス、住所は遠くフロリダ州のフォート・ローダーデール。彼女と関わりのありそうなヨットのオーナーたちを探るジェッシイだが、捜査は難航する。フォート・ローダーデールの女性刑事から耳寄りな情報が入るまでは…警察署長ジェッシイ・ストーンが暴く、事件の歪んだ背景と、意外な真相。ますます好調の巨匠パーカーが贈るシリーズ最新作。

スクール・デイズスクール・デイズ

ボストン郊外の私立ハイスクール、ダウリング校で発生した乱射事件。スキーマスクで顔を隠し、二挺ずつの拳銃を持った二人の少年は七人の教師や生徒を射殺し、人質をとって図書室にたてこもった。警察の包囲と説得の末、六時間後にそのうちの一人で生徒のグラントが投降。いつのまにか姿を消していたもう一人、同校生徒のジェレド・クラークも、すぐにグラントの自供により逮捕された。そのジェレドの祖母がスペンサーを訪ねてきた。孫の容疑を濡れ衣と主張する彼女はスペンサーに、事件を調査し、ジェレドの無実を証明してくれと依頼する。現場を訪れ、地元警察と接触し、弁護士と話すうち、スペンサーの嗅覚が小さな疑問を嗅ぎあてた。少年たちの動機や凶器の拳銃の入手経路を誰も追及していないのだ。それどころか、警察も弁護士も少年たちの両親さえも、さっさと事件に幕を引きたがっている。事件の背後に何かが隠されているのか?追及をはじめたスペンサーの前に、まずは地元警察が立ちはだかり、さらには…スーザンもホークも不在のなか、単独で事件に挑む孤高の騎士スペンサー。ますます好調のシリーズ最新作。

冷たい銃声冷たい銃声

ホークが撃たれた。大口径ライフルの銃弾三発を背中に受け、瀕死の重傷を負ったのだ。集中治療室で厳重看護という状態に陥りながらも、人並みはずれた頑健さと、常人では及びもつかぬリハビリをこなしてホークは快復した。だが、ホークに護衛を依頼した賭け屋とその家族は、託児所にいた幼子一人をのぞいて全員が殺されてしまっていた。彼は、職業上の誇りと個人的なプライドを取り戻さなくてはならなかった。ホークを襲撃したのは、ウクライナ・ギャング。彼らが何のために?スペンサーはホークとともにその謎を追う。やがて、ボストンの黒人裏社会を牛耳るトニイ・マーカスの存在が浮かび上がり、麻薬密売がからんでいることが明らかになってゆく。ホークは、ボストンに近接するウクライナ移民が作った市の市長でもあるウクライナ・ギャングのボスとの対決を決意する。瀕死の重傷を負いながらも、「ほかの男たちと同じであってはならない」と絶大な自信をもって語るホーク。誇りを取りもどすために闘う彼の強烈な個性が炸裂する。

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