小説むすび | 著者 : 三浦清宏

見果てぬ青春の夢を追って、アメリカ中西部の大学へ、そしてニューヨークへ-。’６０年代の無垢と頽廃の気配がきざす風俗、新しい詩の潮流、性のパフォーマンスに賭ける日米の若者たちを描いて、アメリカと自己をみつめる連作小説。

息子を禅僧への道に送り出した変哲もない家族の戸惑いと型破りな師匠の尼僧をユーモラスに描き、「現代の子捨て物語」と評された第９８回芥川賞受賞の表題作ほか、「トンボ眼鏡」「黒い海水着」の２篇を収録。

戦後アメリカ留学の第一世代が直面した思いもかけぬ生活と友情、恋愛を通して発見したアメリカと自己を描く、芥川賞作家初めての連作小説。

豊かで巨大なアメリカはあらゆる物を吸収し孤独に放り出す。貧乏な日本青年も翻弄され、ついには「アメリカ人」になった。本年度芥川賞作家作品集。