著者 : 伏見威蕃
第二次世界大戦という試練をへて誕生したアメリカ空軍。その一員となったバンドフィールド大佐たちは、新鋭機の開発に日夜力を注いでいた。音速を越えるロケット機、最新技術を駆使したジェット戦略爆撃機ーアメリカの航空産業は世界最高峰にあるかに思われた。だが、朝鮮半島で戦争が勃発すると、黒人パイロットのマーシャルたちは思いがけぬ強敵ミグ15と相まみえることになる。ジェット黎明期を舞台に描く航空絵巻。
B-47ジェット爆撃機は、革新的な設計ゆえに、多くの問題をかかえていた。さらにロケット技術の進歩によって戦略爆撃機の存在意義自体が疑われるなか、主翼の破断事故が続発。B-47の将来は危機に立たされる。一方、高まりを見せていた黒人差別撤廃運動に反発して、人種差別団体が不気味な動きをはじめていた。黒人たちを挑発し、暴動を起こさせようとする彼らの陰謀を知ったマーシャルたちは、阻止のために立ち上がった。
フロリダ沖で漁船がUボートらしき潜水艦と遭遇、沈没するという事件が報告された。調査に向かったのは米海軍駆逐艦ゴールズボロ。艦も老朽艦なら、艦長のモントゴメリーも頑固で狷介な変わり者。軍は事件を全く重要視していなかった。だがUボートと思われたのはリビアの潜水艦アル・アクラブだった。空爆を行った米空母コーラル・シーに報復するためフロリダに潜入したのだった。
調査ではコンタクトの証拠こそつかめなかったものの、モントゴメリーは確信していた。潜水艦は必ずいる。ゴールズポロとアル・アクラブの虚々実々の駆け引きが始まった。姿を見せないアル・アクラブはどこかでコーラル・シーを待ち伏せしているに違いない。コーラル・シーは護衛艦なしでメイポートに戻っくるのだ。今や空母を守れるのはゴールズボロしかなかった。
アメリカ空軍のハイテク爆撃機オールド・ドッグは、シベリアの凍土に一人の搭乗員を失った。航法士デイヴィッド・ルーガー。仲間を救うために自分の命を投げ出したルーガーは、その後何年も死んだものと思われていた。ところが、彼は生きていた。重傷を負ってKGBに捕えられ、洗脳されて別の人格に変えられていたのだ。ソ連崩壊後、アメリカ側はリトアニアにある旧ソ連の科学研究所で、ルーガーが自分をロシア人と思いこんでステルス爆撃機の開発に取り組んでいることを知る。オールド・ドッグの元搭乗員をはじめとするチームがルーガー-暗号名レッドテイル・ホーク-救出作戦のために結集した。折りしも、リトアニアでは研究所を支配する元KGBの将軍と、野心家のベラルーシ軍の将軍が結託して、リトアニア強奪にかかっていた。銃火のさなかに決行された救出作戦の行方は。ハイテク航空冒険小説の傑作『オールド・ドッグ出撃せよ』の待望の続篇。
F-4ファントム戦闘機を駆るバニスター少佐は、ミグ四機を撃墜した名パイロットだった。彼の望みは、あと一機撃墜して東南アジアで最初のエースになること。だが、大統領命令で、事実上ミグと空中戦を禁じられてしまう。かわりに彼に与えられた任務は、夜戦専門の精鋭対地攻撃部隊を編成することだった。ところが折悪しく、北ヴェトナム軍がテト攻撃を開始。休暇中だったバニスターは借り物のファントムで出撃する。
敵の攻勢は熾烈を極めた。特殊部隊のローカート中佐は、孤立した民間人を救出するため、戦闘のただなかに赴く。一方バニスターは敵の補給路を叩くため、夜間の対地攻撃作戦を開始。経験豊富なパーカー大尉の協力で、敵の強力な100ミリ高射砲を発見する。作戦を成功させるにはこれを破壊しなければならない。かくてバニスターらは、堅固な高射砲陣地に大胆な攻撃を敢行する。戦闘機乗りだけが描きえた迫真の航空小説。
エリツィンに代わりタカ派の大統領が就任したロシアは、ドニェストル地域の独立をめぐってモルドヴァとの対立が深まり、それに関連してウクライナとも緊張状態が続いていた。そして1995年初頭、領空侵犯したロシアの爆撃機隊をウクライナの戦闘機隊が撃墜する事態が発生した。ロシアは核ミサイルを発射し、ウクライナの軍事施設を破壊した。壊滅的な打撃を受けたウクライナは、臨時政府をトルコに移し、ロシアに対して宣戦布告をする。アメリカの対応は微妙だった。むやみに軍事介入し、ロシアとの核戦争を誘発してはならない。しかも大統領は、兵力削減を推進していた。かくて、数隻のフリゲートと、予備役の一個RF-111G偵察機部隊がトルコに派遣されるが湾岸戦争でいわくつきの極秘任務に携わった経歴をもつメイス中佐、アメリカ初の女性戦闘機パイロットのファーネス少佐らが、ウクライナ空軍の若き英雄トゥイチーナ大佐と共に、不利な状況下で戦闘を繰りひろげる。そして、ロシアの強硬な姿勢に、アメリカ大統領が最後に下した決断とは…。リアルな筆致で描く衝撃のシミュレーション小説。
世界各地で激しい航空戦が繰り広げられている一方で、航空技術は目覚ましい進歩を遂げていた。ハーフナーらのドイツ技術陣は革新的なジェット戦闘機Me262を開発、一挙に戦いの主導権を握ろうとする。だが生産は遅々として進まず、戦局はドイツにとって取り返しのつかないほど悪化。残されたパイロットたちは一握りのMe262で、圧倒的な連合軍爆撃機隊に絶望的な戦いを挑む。史実をもとに空の男たちの死闘を描く。
アメリカは優れた航空技術と数を頼みに北ヴェトナムの空を制しようとしていた。ソ連は劣勢の北ヴェトナム空軍を支援するため、腕利きのミグ・パイロット、チェルノフ中佐を派遣。一方、アメリカで宇宙飛行士になる訓練を続けていたバニスター少佐は、横暴な将軍の策謀でふたたびヴェトナムへ戻ることに。激しさを加えるハノイ上空の戦場で、米ソの名パイロットが激突する。『ローリング・サンダー』に続く航空戦争小説。
陸軍特殊部隊のローカート中佐はヴェトナムで多くの特殊工作に従事していた。その彼に極秘命令が下る。敵の生命線であるホーチミン・ルートを叩くため、監視チームを率いて、必要な情報を収集せよというのだ。ローカートはチーム内に敵方の工作員がいるとも知らずにラオスに潜入する。そのころ上空では、バニスターとチェルノフの死力を尽くした闘いが繰り広げられていた…。本物の迫力を持つヴェトナム戦争小説の白眉。
麻薬密輸の取り締まりに命をかけるハードキャッスルとゲファー、ハマーヘッズの司令官となったエリオット将軍と副司令官マクラナハンたちが繰り広げる死闘。そして、大空に展開する迫力溢れる航空戦。全米でベストセラーとなった超大作軍事スリラー。
最新の科学技術を結集したアメリカの軍事宇宙ステーション〈シルヴァー・タワー〉。レーザー兵器の開発に心血をそそぐ女性科学者アンは、ここで弾道ミサイルの迎撃実験を行なっていた。そんな折り、ペルシャ湾沿岸で米ソの武力衝突が勃発した。圧倒的な戦力にものをいわせて次々と戦略拠点を制圧してゆくソ連軍に対し、アメリカ側は超高性能レーダーを搭載した〈シルヴァー・タワー〉を投入し、戦局の逆転を図るが…。
ソ連軍の動向を瞬時にして探知する〈シルヴァー・タワー〉のレーダーを用いて、アメリカ軍は驚異的な反撃を開始した。劣勢に立たされたソ連軍は、対衛星兵器を駆使して〈シルヴァー・タワー〉に攻撃を加えるとともに、ペルシャ湾に展開するアメリカ第七艦隊に大攻勢をかけるが…。『オールド・ドッグ出撃せよ』の著者が、陸海空と宇宙で展開される現代戦をリアルな筆致で描く、壮大なスケールのハイテク軍事スリラー。
地中海で密貿易にいそしむトラップ船長のもとに、米軍特殊部隊のウェストン大佐と名乗る男が現われた。彼はトラップに、自分の部隊をリビアに上陸させてくれれば2百万ドルを支払うと告げた。巨額の報酬につられたトラップは、老朽貨物船カロン二世号で北アフリカ沿岸へと向かった。そして中東は、彼の無責任な行動によって戦火の渦に巻きこまれる。史上最悪の船長がまたまた暴れまわる痛快無比の海洋冒険アクション。