著者 : 古屋美登里
なくてはならない狂気なくてはならない狂気
愛憎渦巻く家庭から私を救い出してくれた夫が、いま死につつある。その過程と交錯する、両親との過去。父の自殺。母との決裂。そしていま再び、怒濤のような悲しみのなか、差し伸べられた母の手…。その筆力で米文学界を騒然とさせた、驚異の女子高校生作家による珠玉の物語。
ザ・シンギングザ・シンギング
NYのコピーライター、メアリ・アリスは、グッゲンハイム美術館の天窓から降りてきた青年フォレストと、ひと目で恋におちる。みずから火星人と名乗る彼との間に、ひそやかに、やさしく、愛が育つ。だが、フォレストはメアリ・アリスに愛の結晶を残して母の星に去る-。「地球が歌う歓喜の歌」(ザ・シンギング・オブ・アース)のなかを。
ミセス・キャリバンミセス・キャリバン
最愛の子を失い、夫の浮気も発覚して意気消沈するドロシー。そんな折りも折り、海洋調査研究所から逃げ出した謎の怪物「アクエリアス」が彼女の前に現われる。身長2メートルはあろうかという、海陸両棲の蛙男。ドロシーはその怪物を海に帰してやろうとするが…。哀しみの果ての優しさを描いた表題作ほか、倦怠期にさしかかった中年夫婦と新婚カップルの奇妙なやりとり(「聖ジョージとナイトクラブ」)、公園のベンチで終日夢想に耽る男の話(「置き去りにされた男」)の2篇収録。