著者 : 岩瀬成子
100万分の1回のねこ100万分の1回のねこ
佐野洋子の絵本『100万回生きたねこ』は、一九七七年に発売されて以来、今なお多くの人に読まれ続けている大ロングセラー。本書は、江國香織、谷川俊太郎をはじめとする十三人の作家や挿絵画家が、佐野洋子とこの絵本に敬意を込めて書き上げた短篇集。愛と死、生きることについて深く考えさせられる。
やわらかい扉やわらかい扉
私は少し苛立っていた。下宿先の大家の千田姉弟のところへ次々訪れる女の子たち、気がつくと庭に投げ入れられているゴミ、押しつけられた仕事、好きな相手の過去をなじってしまった自分…そしてある日千田家の「事件」に巻き込まれ、人のもつ奇妙な弱さと強さを見た私は、いつか切羽詰まった苛立ちを忘れていた。著者初の恋愛小説。
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