著者 : 朝倉かすみ
そんなはずないそんなはずない
30歳の誕生日を挟んで、ふたつの大災難に見舞われた松村鳩子。婚約者に逃げられ、勤め先が破綻。失業保険が切れる頃に変わり者の妹・塔子を介し、年下の男、午来と知り合って以来、心ならずも過去の男たちとつぎつぎに会う羽目に。新しい職場である図書館の同僚たちに探偵がつきまとい、鳩子の男関係を嗅ぎまわっている。果たして依頼人は?目的は?ユーモラスで、純粋。恋愛、それにまつわる災難の物語。
夫婦一年生夫婦一年生
事務系OLの青葉は、仕事で出会った男、朔郎と結婚した。新居は彼の赴任先の札幌の築十五年3LDKのマンション。新婚旅行のお土産選定に頭を悩ませ、料理のレパートリー向上に努め、ご近所付き合いにも前向きに取り組むなど、主婦業を全うしようとする青葉なのだった。それでも、うまくいかないこともある。ご近所さんに夫の極秘情報をうっかり流してしまい、初の夫婦げんかに発展したり、夫の両親が泊まりがけで来訪するという一大事に振り回されたりする。嫁は一日にしてならず、な日々を綴った、ムフフときどきトホホな新婚デイズ小説。
肝、焼ける肝、焼ける
31歳になった。遠距離恋愛中、年下の彼は何も言ってくれない。不安を募らせて、彼の住む町・稚内をこっそり訪れた真穂子は、地元の人たちの不思議なパワーを浴びて、なにやら気持ちが固まっていくー。三十代独身女性のキモ焼ける心情を、軽妙に描いた小説現代新人賞受賞作を含む、著者の原点、全五編。