著者 : 柾悟郎
さまよえる天使さまよえる天使
彼らの一瞬が、わたしたちの永遠。それでも、めぐりあえたら、嬉しい。普通人の300倍の時間を、ゆっくりと静かに生き続けている人たちがいます。瑞々しい筆致で紡ぎあげられた、みたこともないような物語。
ヴィ-ナス・シティヴィ-ナス・シティ
21世紀初期、日本は世界経済を掌握する巨大ネットワーク国家となっていた。東京で国際情報調査会社に勤務する森口咲子には、もうひとつの顔があった。夜ごと彼女は精悍な男性に変身して「ヴィーナス・シティ」に現われるのだ。ヴィーナス・シティとはコンピュータ・ネットワーク上に構築された仮想現実都市。ヴァーチュアル・リアリティの技術を応用したこの電子都市では誰もが自分の望み通りの人間となり、あらゆる欲望をかなえることができる。ある夜咲子は、シティの中で暴漢に襲われた少女を助ける。犯人は何者か、その動機は?やがて事件は日本全土を巻きこむ国際情報犯罪に発展する…。仮想現実感とジェンダー、コンピュータ技術と日本の将来を迫真の筆致で描いた近未来小説。
邪眼(イーヴル・アイズ)邪眼(イーヴル・アイズ)
地下シャトルで十分の裏街。根城にしている墓場の扉を開ける。扉に名前は出していない。幽霊は幽霊だ。名前はいらない。…板張りひと部屋の墓場。ミキサーのコンソールに腰を落ち着け、ちょっとした小品にフィニッシュの色香を加える。自分の固定機に入れて再生し、仕上がりを確認する。早い秋、高原の風。少しマイナーで、やけに軽いビート。OKだ。これでむこう2カ月の酒瓶は保証される。-マインドソフト・デザイナーのハードボイルドにみちた悲劇を描き、〈SFコンテスト〉入選後、話題を巻き起こした処女作「邪眼」を含む作品集。
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