著者 : 真咲理央
パーティでシャンパンを飲みすぎて前後不覚に陥った21歳のリリー。翌朝目覚めると、なんと見知らぬベッドの上にいた!バスルームでシャワーを浴びているのは、昨夜知り合った、精悍な顔だちをした年上男性パトリックだ。ああ、なんてことを!リリーは恥ずかしさから別れも告げず、あわてて自宅に逃げ帰った。そこで、はからずもパトリックの素性を知ることになる。彼は、リリーの父が経営する会社の取引銀行の頭取だった。あいにく父の会社は今、財政問題を抱えていて、彼に弱みを握られていた。その夜、彼女の家にパトリックが現れ、脅しまがいの驚くべき提案をした。「僕と結婚するんだ。さもないと、お父さんの会社は…」
大学生のシェリーは春休みに訪れたフロリダで、シルバーグレーの髪をした年上の銀行家フォークナーと出会い、ひと目で惹かれた。しかし、学生を相手にする気はないし、つきまとわれるのも迷惑だと言われる。なんて傲慢な人!縁がなかったと思うシェリーだったが、たまたま溺れていた少年を助けると、なんと彼の息子で…(『汚れなき花嫁』)。リンドハースト一族の当主アンソニーは目を疑った。そんなはずがない…寝室に、4年前に失踪した新妻のジョージーがいるとは!当時、妻が不貞に及んだと思った彼は、離縁するかどうかは自分が決めると言い渡した。だが彼が不在の間に、妻は忽然と消えたのだった。今、怒れるアンソニーは要求したー跡継ぎを産むようにと(『舞い戻りし花嫁』)。リアは実業家のジェラードの妻となり、夢のような新婚生活を送り始めた。けれどほどなく、夫の愛の言葉は嘘で、都合のいい妻に仕立て上げるために選ばれたと知り、深く傷ついて家を飛び出した。半年後、自活するリアの前に、ジェラードの双子の弟と名乗るギャレスが現れる。夫とは正反対の性格の彼に惹かれてしまうが…(『花嫁の反抗』)。
長い金髪を額でわけて腰まで垂らし、透き通るように白い肌。19世紀の絵画から抜けだしてきたような花屋のソーニャは、30歳以上も年上の富豪に見初められて、婚約間近だった。ところが晩餐会で見た、富豪の甥デイヴィッドに胸がざわつく。男らしい彫りの深い美貌が眩しく、心惹かれたのだ。だが身を落としているとはいえ、ソーニャは滅びた貴族の末裔で、誰にも言えないような、忌まわしい過去の呪縛に囚われている。しかも、デイヴィッドには財産目当ての女と嫌われていて…。私の愛は叶わぬ夢と、未練を断ち切るように彼女は目を伏せた。
ジュリーは仕事の依頼を受け、ローマの地に降り立った。ここは8年前、想いを残したまま別れた恋人リコ・フォルツァの故郷。あの、めくるめくような幸せな日々を忘れたことはない。彼との唯一の絆であるかわいい息子、ゲイリーがいるから。貧しかったジュリーは、大富豪であるリコの祖父に脅され、別れの手紙だけを置いて彼の前から姿を消したのだった。その祖父亡き今、愛しいリコと再会することもあるかもしれない…はかない望みはしかし、予想だにしないかたちで叶えられた。ジュリーを雇ったのは、ほかならぬリコ本人だったのだ!彼はまるで別人のように、憎しみを込めてジュリーを見つめ…。