著者 : 石井光太
赤ちゃんをわが子として育てる方を求む赤ちゃんをわが子として育てる方を求む
一九二六年石巻に生を受けた菊田昇は、母が営む遊郭で育つ。東北大学医学部へ進み、産婦人科医となった昇は、小さな命を救うためー望まぬ妊娠をした女性と子供を望む夫婦の橋渡しを始める。それは法を犯すことでもあった。その事実が、新聞のスクープで明るみになり、世間を揺るがす事件に発展。日母からの除名処分、国会招致、家宅捜索など、幾多の試練が降りかかる中、国を相手に闘い続け、一九八七年「特別養子縁組制度」を勝ち取った。東北の地で小さな命を守り続けた信念の医師がいた。本年必読の書。
蛍の森蛍の森
ある者は朝食を用意している最中に、或いは風呂を沸かしたまま、忽然と姿を消した。四国山間部の集落で発生した老人の連続失踪事件。重要参考人となった父に真相を質すべく現地に赴いた医師は、村人が隠蔽する陰惨な事件に辿り着く。奇妙な風習に囚われた村で起る凶事。理不尽な差別が横行した60年前の狂気が、恨みを増幅して暴れ出すー。ハンセン病差別の闇を抉る慟哭の長編小説。
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