著者 : 神林長平
時間蝕時間蝕
冷凍睡眠を使い、光速と比べられる宇宙船の速度を利用し、時間という盾に隠れて逃げつづけてきた永久逃亡犯。そして彼を捕え、火星の永久警察へ連行しようとする永久刑事。二人の乗りこんだ民間宇宙船が救難信号を受信したことから、敵味方であるふたりは難破船の捜索に赴いたのだが…「渇眠」、酸性雨が降りつづく都市で起きた連続殺人事件の謎を追う「酸性雨」、ひとりひとりのパーソナル・コンピュータが人格の一部になっている未来世界を描く「兎の夢」など、星雲賞受賞作家・神林長平の才気をあますところなくつたえる中篇4篇を収録する。
機械たちの時間機械たちの時間
おれ-邑谷武は、人間-機械のハイブリッドソルジャーだ。火星陸軍の1等兵として無機生命体・マグザットと戦闘を繰り広げてきた。だがマグザットに急襲されて、意識を失った-そしてここは地球、1986年。ある日、おれの脳に組み込まれたTIPがコンピュータとシンクロし、ディスプレイに火星の戦友・中条光則の助けを求める姿が映し出された。崩壊していく現実の中で、火星のイメージと風景がオーバーラップした時、おれは2131年にいた。そこで、首なし死体となった中条に再会する。謎をとくため、おれは彼の恋人・絵里奈の家へ向った。