著者 : 藤原新也
コスモスの影にはいつも誰かが隠れているコスモスの影にはいつも誰かが隠れている
ふつうの人々の営むささやかな日常にも、心打たれる物語がひそんでいる。その一つ一つをていねいにすくい上げて紡いだ、美しく切ない作品集。妻殺しの容疑で起訴された友人の物語「尾瀬に死す」(TVドラマ化)ほか、ネットカフェ難民の男女の出会いを描いた表題作、はぐれカモメと放浪犬とおばあさんの物語など十四篇を収録。
ディングルの入江ディングルの入江
アイルランドを訪ねた写真家の「私」が出会った女流画家プーカ。沖合に浮かぶ今は無人の島ブラスケットを見つめる彼女は、幼い頃島に流れ着き、一切の記憶を失って育った。彼女がキャンバスに描くのは、失われた時間と自分だけの物語。その姿は、同じ漂流者たる「私」の心をとらえるのだった。孤独な魂と魂が寄り添い、共鳴して…。無数の国境を横断し、人間の光と闇を見つめてきた著者初の長編小説。
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