著者 : 藤田真利子
老人介護施設で働き始めた18歳の落ちこぼれ青年グレゴワールは、本だらけの居室で本に埋もれるように暮らす元書店主のピキエ老人に出会い、まったく無縁だった本の世界に足を踏み入れる。体も目も不自由になってきているピキエ老人に朗読をするのが日課となり、それは他の入居者たちにも波及する。ある日はサリンジャー、ある日はラブレー、ある日はアレッサンドロ・パリッコ…。そして、二人は下水管を通して発禁本の朗読を希望者にこっそり聞かせるイベントまで企画する!青年は本のソムリエのような老人の案内に従って様々な本に出会い、その魅力に取り憑かれていく。
家には四つの部屋があった。両親の部屋、私の部屋、弟ジルの部屋、そして死体の部屋…。それは狩猟が趣味の父親が戦利品をしまう剥製の部屋だった。暴力的な父親と、その顔色をうかがうだけのアメーバのような母親。そんな両親との暮らしだったが、十歳の少女は四歳年下の無邪気な弟と楽しい日々を送っていた。しかしある日、アイスクリーム売りを見舞った事故を目撃した時から、弟は変わってしまった。無邪気な笑みは消え、剥製の部屋にこもるようになり、虫や動物をいじめるように…。なんとかしてあの無邪気な笑顔を取り戻したい!現実をリセットしたい!利発な少女の試みは?Fnac小説大賞、高校生が選ぶルノードー賞、ELLE読者賞他14の文学賞を受賞。
バーバラはにっこり笑い、ぼくの唇に情熱的なキスをした。ぼくはバーバラを見つめ、そこに「冒険」を見たーサーフィン映画から抜け出たようなアメリカ娘バーバラに会ったとたん恋をしてしまったリチャード。ロンドンの恋人も仕事も投げうって勝手にL.A.にやってきた彼だが、彼女にはボーイフレンドがいる。クレイジーな街で二人の恋は何処へ行く?R・レイナーのおかしくもアイロニックな自伝的処女小説。
抜群のカード・テクニックを持つマイクはロシアン・マフィアテディKGBとのポーカー勝負で全財産を失い、ロースクールの学生としての新たな人生を選ぶ。同棲中の恋人ジョー、そして輝かしい将来を目前にしながらも、闇ポーカーのスリルと興奮が忘れられない。そんな時友人のワームが刑務所から出所しトラブルに巻き込まれる。マイクは友情のため再び“ラウンダーズ”の世界に足を踏み入れることに…。