著者 : 越前貴美子
甘くない湖水甘くない湖水
私の母は掃除婦をしながら四人の子どもを育て、障がいを持つ夫を支えた。厳しくも誇り高い母からは、勉学に励み、正しく生きることを強要されてきた。だが私は、貧しさや不条理におしつぶされ、母の厳格さにも息苦しさを覚え、鬱積した心の闇から、次第に暴力的な衝動に駆られていくー。湖畔の町で10代から20代を過ごした少女、ガイアの内面をつぶさに描き、カンピエッロ賞を受賞、ストレーガ賞最終候補となった傑作長篇、待望の邦訳。
法医学教室のアリーチェ 残酷な偶然法医学教室のアリーチェ 残酷な偶然
ローマの法医学研究所で働く研修医アリーチェは、ある夜、上司のクラウディオとともに現場検証に行き、女性の死体を見て衝撃を受ける。その女性ジュリアと偶然にも前日知り合っていたからだ。クラウディオの出した死亡推定時刻に疑問を覚えたアリーチェは、ジュリアへの個人的な感情から事件の解明にのめりこんでいく。はたしてジュリアの死は、単なる事故死なのか、あるいは他殺なのかー。ジャーナリストの自由人アーサーとの恋の成り行きを織り交ぜ、直観を信じて突き進んでいくアリーチェの姿を、丹念に、時にユーモラスに描き出す。
PREV1NEXT